小学生のお子さんが、足が遅いことを気にしていませんか?
短距離走の場合、もしかするとスタンディングスタートのときに構える姿勢がよくないのかもしれません。
お子さんと一緒にスタートのときに構える姿勢を確認してみてください。
2021年に発表された研究論文(参考文献1)によると、スタート姿勢のとき、構える腕と足の位置が左右同じであった場合は、スタート後に効率よく加速できないことが報告されています。
このようなスタートの姿勢に問題がある小学生は全体の半分程度いる可能性があります。
スタート時の姿勢は、前方に構えた腕と逆側の足を前方に構える姿勢(腕と足の位置が左右対称)が好ましく、スタート後の速度の立ち上がりが大きく、タイムがよくなることが期待できます。
もし、お子さんのスタートのときの姿勢が構える腕と足の位置が左右同じであった場合は、腕と足の位置が左右対称となるように改善してみてください。
これだけで足が速くなくかもしれませんよ。
小学生が速く走るためにはスタートのときに構える姿勢が重要
2021年の研究論文(参考文献1)では男女20名の小学生を対象に、短距離走のスタート動作について調べた研究結果が報告されています。
その結果、スタート時において構える腕と足の位置が左右対称のスタート動作を行っていない小学生は、男女ともに約半数ずつ存在していたそうです。
スタート時において構える腕と足の位置が左右対称のスタート動作を行っていない小学生を対象に、腕と足の位置が左右対称となるように指導を行った結果、スタート後の速度の立ち上がりが有意に大きくなったことが報告されています。
どうして構える腕と足の位置が左右対称のスタート姿勢がいいの?
短距離で早く走るためには腕振りが重要な役割をします。
腕振りは身体のねじれを防止して、前方への推進力獲得につながります(参考文献1-3)。
構える腕と足の位置が左右同じスタート姿勢の場合は、走る時の腕振り機能を働かせるために、前方に構えた腕を一度後方に振る必要があります。
そのため、余計な腕振り動作の分、スタート後の速度の立ち上がりが小さくなります。
一方、構える腕と足の位置が左右対称のスタート姿勢の場合は、腕振り動作にスムーズに移ることができ、スタート後の速度の立ち上がりが大きくなります。
短距離走は走る距離が短いので、スタート後の速度の立ち上がりが結果に大きく影響します。
まとめ
短距離走で早く走るためには、スタンディングスタートのときに構える姿勢が大切です。
スタート時の構えは、前方に構えた腕と逆側の足を前方に構える姿勢(腕と足の位置が左右対称)が好ましく、スタート後の速度の立ち上がりが大きく、タイムがよくなることが期待できます。
一度、お子さんと一緒にスタートのときに構える姿勢を確認してみてくださいね。
参考文献
- 日置佑輔ら. 小学生児童の短距離走におけるスタート時の姿勢が加速局面の走速度に及ぼす影響. 岐阜大学教育学部研究報告(自然科学) 2021 45:57-62.
- 伊藤章. 走りにおける腕の役割. 体育の科学 1991 41:688-692.
- 木越清信. 短距離走における腕振り動作の反動効果が疾走速度に及ぼす影響. 筑波大学体育系紀要 2015 38:133-138.
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