ホワイトビネガーは、料理だけでなく雑草を駆除する手作り除草剤として利用できるようです。
でも除草剤効果はどうなんでしょうか?
そこで、実際にホワイトビネガーを使った除草剤を作って、除草効果を検証してみました。
その結果、ホワイトビネガー除草剤をかけた雑草やゼニゴケは茶色くなり、枯らす効果が確かにありました。
農薬を使用したくない場合は、ホワイトビネガー除草剤は選択肢の1つかもしれません。
目次
ホワイトビネガーとは
ホワイトビネガーはアルコールを原料とした醸造酢です。
黄色味がかった穀物酢や米酢とは違って、ホワイトビネガーは無色透明で、癖のある香りがなく、お酢の匂いも控えめです。
サラダ、ドレッシング、マリネなどの料理に合います。
入手するのが少し面倒なホワイトビネガー
ホワイトビネガーを使った除草剤を作るには、当たり前ですがホワイトビネガーが必要になります。
ですが、このホワイトビネガー、一般的なスーパーではほとんど売っていません。
一番簡単な入手方法は、ネットでの購入です。
例えばハインツのホワイトビネガーはAmazonなどで購入できます。
国内製造のホワイトビネガーであるW-10は楽天で売っています。
私はW-10を購入しました。
一般的なホワイトビネガー(ハインツのホワイトビネガーなど)の酸度は5%ですが、私が購入したW-10は業務用のため酸度が通常の2倍の10%でした。
(酸度は酢酸濃度と解釈できます)
ホワイトビネガーを使った除草剤
2021年にタイのグループがホワイトビネガーを使った除草剤に関する論文を報告しています(参考文献1)。
この論文にホワイトビネガーを使った除草剤の組成が出てくるので、それを参考につくってみました。
ホワイトビネガー除草剤の組成(参考文献1)
ホワイトビネガー(酸度:5%)
塩(濃度:5%)
食器用洗剤(濃度:0.2%)
今回はお試しで100 mL分を作製。
スプレーボトルは100円ショップ(セリア)で買ってきたものを使用しました。
(スプレーボトル本体:PET樹脂、ノズル:ポリプロピレン)
ホワイトビネガー除草剤の作り方
ここでは100 mL分の作り方を紹介します。
作る量に合わせてそれぞれの必要量を変更してください。
①酸度5%のホワイトビネガー溶液の作製
私の持っているホワイトビネガー(W-10)は酸度10%なので、水道水で2倍に希釈しました。
実際には、50 mLの水道水と50 mLのホワイトビネガー(W-10)を混ぜて、100 mLの酸度5%のホワイトビネガーを作製しました。
(ハインツのホワイトビネガーなど、もともと酸度が5%のものはこの操作は必要ありません)
②塩の添加
家庭用はかりを使用して、食卓で使用する塩を5 g計量し、酸度5%のホワイトビネガー溶液(100 mL)に添加しました。
③食器用洗剤
食器用洗剤は展着剤として、雑草に対する酢酸と塩の付着性や浸達性などを高めます。
今回は家に置いてあったCHARMY Magica 除菌+(プラス)(ライオン)を食器用洗剤として使用しました。
食器用洗剤は何でもいいと思います。
家庭用はかりを使用して、表示を見ながら食器用洗剤を0.2 g添加しました。
数滴で0.2 gになったので、わずかな量です。
④ホワイトビネガー除草剤の完成
ホワイトビネガー除草剤に必要な組成をすべて入れたら、スプレーボトルをくるくる回してよく混合しました。
完成したホワイトビネガー除草剤の溶液は、少し白濁していました。
除草効果の検証
除草効果の検証は、私の家の敷地内で雑草が生えた部分を対象に行いました。
敷地に生えた雑草は、タンポポ、シダ、スズメノカタビラなどでした。
ゼニゴケも生えていました。
ホワイトビネガー除草剤をスプレーした翌日(2日目)に、タンポポは枯れていました。
タンポポに対しては除草効果が高いようでした。
シダとスズメノカタビラも葉の一部が茶色くなり、ゼニゴケも元気がなくなっていました。
一回のスプレーでそれなりに除草効果が認められました。
その後、1日に1回スプレーを継続し、4日目まで観察を継続しました。
残念ながら3日目と4日目は雨が降ってしまいましたが、それでも日数が経過するにつれて除草効果は高まる傾向がありました。
4日目のゼニゴケは全体的に茶色になっており、ホワイトビネガー除草剤はゼニゴケに対しても効果が認められました。
以上の結果から、ホワイトビネガー除草剤は雑草とゼニゴケを枯らす効果を有していることが確認できました。
ホワイトビネガー除草剤の除草効果まとめ
・タンポポには1回のスプレーで除草効果あり
・数日にわたって複数回スプレーするとより除草効果が高まる
・ゼニゴケに対しても枯らす効果あり
・研究論文ではメヒシバ、ギョウギシバ、ハイキビなどにも除草効果があることが報告されている(参考文献1)
ホワイトビネガー除草剤の注意点
安全性が高いホワイトビネガー除草剤ですが、使用に関してはいくつか注意する点があります。
・ニオイ
ホワイトビネガーはお酢なので、スプレーするとお酢のニオイがします。
穀物酢や米酢に比べるとニオイは控えめですが、ホワイトビネガー除草剤をスプレーするときは近所に配慮が必要です。
ニオイは1時間程度で気にならなくなります。
・コンクリートや金属などへの影響
ホワイトビネガー除草剤は酸性なので、コンクリートや大理石を侵食して劣化させる可能性があります。
また、ホワイトビネガー除草剤の酸と塩は金属を錆びさせる可能性もあります。
コンクリートや大理石、金属などにホワイトビネガー除草剤をスプレーしないようにしてください。
・土壌への塩の影響
ここで紹介したホワイトビネガー除草剤には塩が含まれています。
土壌に大量にスプレーすると土壌の塩分濃度が高くなります。
土壌の塩分濃度が高くなると、その場所では雑草以外の植物も生育しなくなるので注意してください。
ホワイトビネガー除草剤は、その組成から塩を除いても除草効果があります。
土壌に対する塩の影響が気になる場合は、塩を含まないホワイトビネガー除草剤を作製して使用してください。
ただし、塩を含まないホワイトビネガー除草剤は除草効果が低くなります(参考文献1)。
ホワイトビネガー除草剤(塩を不含有)の組成
ホワイトビネガー(酸度:5%)
食器用洗剤(濃度:0.2%)
・除草目的外の植物にスプレーしないように注意
ホワイトビネガー除草剤は雑草以外の植物も枯らしてしまう可能性があります。
除草目的外の植物にスプレーしないように注意してください。
まとめ
ホワイトビネガーを使った除草剤は、雑草を駆除することができます。
ゼニゴケの駆除にも効果がありそうです。
除草に農薬を使用したくない場合は、ホワイトビネガー除草剤で代替できるかもしれません。
ただし、ホワイトビネガー除草剤の使用には注意点もあるので、理解したうえで使用してくださいね。
参考文献
- Mahachai P, Subsoontorn P. Assessment of effectiveness of vinegar and hydrogen peroxide based herbicide formulation against common weeds in Thailand. Naresuan University Journal: Science and Technology 2021 29(3):20-29.
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