部屋の中の壁や床、食品などで見かける茶色でゴマ粒ぐらいの小さな虫は、シバンムシという害虫の可能性があります。
シバンムシには複数の種類があり、家の中で見かけるものの多くはジンサンシバンムシまたはタバコシバンムシという種類になります。
これらの害虫は、食品、畳、タバコなどに被害を与えます。
さらに、シバンムシが家の中で増えると、寄生蜂であるシバンムシアリガタバチが発生し、虫刺されという二次被害が起きる可能性もあります。
そのため、シバンムシはできる限り駆除したほうが好ましいです。
残念ながら我が家ではジンサンシバンムシが発生してしまいました。
私と同じようにシバンムシをご自宅で発見される方もいると思うので、虫の特徴(ジンサンシバンムシとタバコシバンムシの違い)や対処法に関して調べたことをご紹介します。
目次
ジンサンシバンムシの発生事例
4月の部屋の壁で小学1年生の娘が見つけた茶色で3 mm弱の小さな虫。
ゴマみたいな虫です。
何の虫と聞かれ、わからず調べることに。
カメラで写真をとって、画像を拡大。
短い円筒形(カプセルのような形)の体、2.5 mm程度の体長、体が茶色(赤褐色)、頭部が背面からよく見えない、触角の先端の3節が大きいなどの特徴から、どうやらジンサンシバンムシという虫のようでした。
ジンサンシバンムシは、乾燥した植物体を食べ、穀物や菓子類、畳表などを食べる害虫です。
我が家でも、食品や畳表などを食べていた可能性があります。
さらに、ジンサンシバンムシには、他の衛生害虫であるシバンムシアリガタバチが寄生します。
シバンムシアリガタバチの成虫は人間を刺すので、シバンムシアリガタバチによる二次被害の可能性もあるのだとか。
近年は、シバンムシアリガタバチの被害も増えているようです。
シバンムシアリガタバチの二次被害を防ぐ意味でも、ジンサンシバンムシの駆除が必要ということがわかりました。
茶色でゴマ粒みたいな虫 ジンサンシバンムシ
ジンサンシバンムシは部屋の中の壁や床、食品などで発見する可能性があります。
とても小さな虫で、茶色でゴマ粒ぐらいの大きさです。
形はゴマとは違い、短い円筒形(カプセルのような形)です。
頭部はよく見えませんが触角は見えます。
触角の先端の3つが大きいのが特徴です(ただし、サイズが小さく、小刻みに動いているので確認しにくい)。
残念ながら、部屋で見かける成虫はすでに産卵を終えている可能性があります。
年に1~3回ほど発生する可能性があります。
(ジンサンシバンムシの詳しい特徴は長くなるので最後に記載しています)
ジンサンシバンムシとタバコシバンムシの違い
ジンサンシバンムシと似ている虫(シバンムシ)として、タバコシバンムシがいます。
タバコシバンムシ(学名:Lasioderma serricorne)もジンサンシバンムシと同じような食性と生活環の害虫で、タバコや畳表などを食害します(参考文献1)。
違いは、タバコシバンムシには、翅鞘(ししょう:背中の硬い翅)には明瞭な縦条がないこと、触角の先端は大きくない(各節の大きさがほぼ同じ)ことです。
ジンサンシバンムシとタバコシバンムシは両方とも小さいため、肉眼での判別は難しいかもしれません。
同じような害虫なので、駆除対象となります。
シバンムシに寄生するシバンムシアリガタバチ
シバンムシアリガタバチ(学名:Cephalonomia gallicola)は、寄生蜂でジンサンシバンムシとタバコシバンムシの両方の幼虫に寄生します(参考文献1)。
成虫は激しく人間を刺すので、衛生害虫として問題になります。
体は赤褐色で、アリに似ています。
アリとは触角と腹部1・2節の形で区別できます。
成虫の体長は雌2 mm、雄1.5 mmととても小さいです。
雌は翅がなく(無翅)、雄は翅があるもの(有翅型)とないもの(無翅型)が存在します。
年5回の発生が可能といわれ、夏がピークです。
本州、四国、九州に分布します。
シバンムシは駆除が必要
シバンムシ(ジンサンシバンムシとタバコシバンムシ)は食品、畳、タバコなどに被害を与えます。
それだけでなく、シバンムシが家の中で増えると、寄生蜂であるシバンムシアリガタバチが発生し、虫刺されという二次被害が起きる可能性があります(近年被害が増えているようです)。
シバンムシの成虫は見つけ次第駆除したほうが良いです。
駆除の方法は、屋外に逃がす、または殺虫剤などを使用して駆除することになります。
成虫はサイズも小さく、動きも早くないので、比較的対処しやすいと思います。
もちろん刺したりすることはありません。
おすすめの殺虫剤は適用害虫にシバンムシの例示がある虫コロリアース エアゾール 不快害虫用殺虫スプレーです。
部屋全体の駆除ならイヤな虫ムエンダーがおすすめです。
お部屋の空間にプッシュするだけでミクロの殺虫成分が部屋のスミズミまでいきわたり、家中まるごとシバンムシを駆除できます。
また、雄が雌の性フェロモンに誘引される性質を利用した捕獲セットも効果がありそうです。
部屋に殺虫剤をまかなくて済む利点があります。
ジンサンシバンムシ用とタバコシバンムシ用があるので、害虫に合ったものを使用する必要があります。
ジンサンシバンムシ用
タバコシバンムシ用
シバンムシの完全駆除
ジンサンシバンムシとタバコシバンムシを完全に駆除するには発生源を見つけて、その発生源の駆除を行う必要があります。
発生源は、食品の保存場所、畳、タバコの保管場所、ドライフラワーなどの可能性があり、家の中を掃除することが発生源を見つけることにつながります。
しかしながら、発生源を見つけることは難しいです。
我が家も発生源を見つけることができていません。
駆除の専門業者に相談・依頼
シバンムシの完全な駆除は個人では難しいです。
完全な駆除が必要な場合は、駆除の専門業者に相談・依頼したほうが良いです。
まとめ
部屋の中の壁や床、食品などで見かける茶色でゴマ粒ぐらいの小さな虫は、シバンムシという害虫の可能性があります。
シバンムシには複数の種類があり、家の中で見かけるものの多くはジンサンシバンムシまたはタバコシバンムシです。
これらの害虫は、食品、畳、タバコなどに被害を与えます。
さらに、ジンサンシバンムシとタバコシバンムシが家の中で増えると、寄生蜂であるシバンムシアリガタバチが発生し、虫刺されという二次被害が起きる可能性があります。
そのため、ジンサンシバンムシとタバコシバンムシは、できる限り駆除したほうが好ましいです。
ジンサンシバンムシの詳しい特徴
最後にジンサンシバンムシの詳しい特徴を書籍(参考文献1)の記述を基に紹介します。
ジンサンシバンムシ(学名:Stegobium paniceum)
雑食性で、含水率6~15%のあらゆる乾燥した植物体を食べ、乾燥した薬用ニンジン(人参)にも好んで寄生することから“ジンサン”(人参)の名がついています。
貯蔵穀物や穀粉、パン、ビスケットなどの菓子類で多く発見されるほか、各種の薬味や香辛料、薬草、乾果、シイタケ、ソバなどの害虫として重要視されています。
きわめて強い解毒能力を持ち、猛毒のアルカロイドを持つトリカブト類の乾燥球根などでも生育可能です。
タバコや畳表の害虫としても知られています。
本州以南の各地に分布し、年間世代数は東北で1回、鹿児島で3回、その中間では2回と推測されています。
主として幼虫態で越冬します。
野外ではハトの巣、ハチバナ類の巣などから発見されています。
また、約3,300年前のエジプトの王墓から本種の成虫の死体が発見されたことによって、原産地はエジプト付近と目されています。
ジンサンシバンムシの成虫の特徴
ジンサンシバンムシの成虫は、短い円筒形の形で、体長は2.5 mm程度。
頭部が下のほうを向いていて、背面からは見えません。
赤褐色(茶色)で全体は密な灰黄色毛におおわれています。
翅鞘(ししょう:背中の硬い翅)には明瞭な縦条があります。
触角はムチ状で、先端の3節が長く大きい。
成虫は、羽化後1週間程度を繭の中で過ごしてから脱出し、摂食せずに交尾・産卵を行います。
雌は性フェロモンを分泌して雄を誘引します。
約3週間で産卵を終え、その間に卵を約75卵生みます。
卵は食物上にばらばらに産下されます。
産卵後も3~5週間生存します。
ジンサンシバンムシの幼虫の特徴
卵は、夏季には10日程度でふ化し、幼虫は45日程度で生育します。
幼虫は白色でコガネムシ型の形態です。
成長すると体長3 mm程度に達し、食物の表面や容器の底に粘着物質を分泌して繭を作って蛹化します。
繭の表面には食べかすや糞が付着して塊状になり、それが互いにつながり、特徴的な被害を表します。
蛹の期間は10日程度です。
参考文献
1. 安富和男, 梅谷献二. 原色図鑑/改訂・衛生害虫と衣食住の害虫. 全国農村教育協会 1995.
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