春に目を引く黄色い花を咲かせるカラシナ。
一見するとセイヨウアブラナ(菜の花)と勘違いしやすいですが、葉の基部(葉と茎の堺の部分)を確認すると見分けがつきます。
葉の基部が茎を抱くように回り込んでいればセイヨウアブラナですが、そうではなく葉の基部が茎を抱かずに、葉がすっと出ていればカラシナです。
カラシナの種子からは和ガラシができます。
カラシナ
カラシナ(芥子菜)
学名:Brassica juncea
別名:セイヨウカラシナ
分類:アブラナ科アブラナ属
花期:3~5月
分布:ユーラシア原産、日本全土に帰化
本種は栽培植物で、アブラナ類とクロガラシとの交配ででき、種子からカラシを採った。
色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑(1)
欧米から渡来したといわれ、草丈は30~80 cmになる。
セイヨウアブラナに似るが全体にやや小さく、葉の基部は茎を抱かない。
カラシナとセイヨウアブラナの区別
カラシナと外見がよく似ている植物としてセイヨウアブラナ(菜の花)があります。
二つの植物の区別は、葉の基部を調べることで可能です。
カラシナの葉の基部は茎を抱きませんが、セイヨウアブラナの葉の基部は茎を抱くように回り込みます。
和ガラシ
カラシナの種子からは和ガラシができ、海外ではオリエンタルマスタードとよばれます(2)。
和ガラシは鼻にくる刺激がマスタードと比べて強めです。おでんなどに使用されます。
カラシナを用いた重金属汚染土壌の浄化の可能性
カラシナは重金属である鉛とカドミウムの超集積植物として世界的に研究されています(3)。
カラシナは土壌に含まれる鉛とカドミウムを地下部からポンプのように吸い上げ、地上部に集積することができます。
鉛やカドミウムに汚染された土壌にカラシナを植えることで、土壌汚染浄化(カラシナに鉛やカドミウムを移して土壌から除去)できることが期待され、研究が行われています。
このような植物を利用した環境修復はファイトレメディエーション(phytoremediation)と呼ばれます。
参考文献
- 高橋修, 藤井伸二(監修). 色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑. ナツメ社 2014.
- 泉幹雄. 世界の野菜の食べ方と日本の食べ方-同じ野菜でも大きく違う-. 日本食品保蔵科学会誌 2006 32(6):297-304.
- 山田亮ら. 重金属集積植物セイヨウカラシナのカルスにおける重金属の挙動. 分析化学 2005 54(9):929-933.