土の上に広がる黄色い金平糖のような花がかわいらしいコメツブツメクサ。
マメ科植物で根に根粒を有しています。
根粒では窒素固定が行われ、やせた土壌でも生育します。
他の広葉雑草の生育を抑制し、地面を覆うように広がります。
コメツブツメクサ

コメツブツメクサ(米粒詰草)
学名:Trifolium dubium
別名:キバナツメクサ
分類:マメ科シャジクソウ属
花期:5~8月
分布:ヨーロッパ、西アジア原産、日本全土に帰化

道端や公園、河原などに群生する帰化植物。
色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑(1)
長さ3 mmほどの黄色い花を5~20個集めた花の塊は直径7 mmほどで小さい。
茎はよく分岐し、地面を覆うように生える。
葉は3枚1組。
芝生などよく踏まれる場所にも生え、草丈は20~40 cm。
花が終わると、小さくしぼんでしまう。
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コメツブツメクサの根には根粒が存在

マメ科植物の多くは根に根粒が存在しますが、コメツブツメクサの根にも根粒が存在します。
根粒の中には根粒菌(土壌由来の特定の細菌)が共生しています。
この根粒菌には、空気中の窒素分子をアンモニアに変換する特殊な能力があります(この変換プロセスを窒素固定といいます)。
根粒菌の窒素固定のおかげで、コメツブツメクサは生育に必要なアンモニウム塩や硝酸塩などの窒素化合物を土壌以外から得ることができ、窒素化合物が欠乏したやせた土壌でも生育することができます。
やせた土壌での生育は、他の植物との競合を回避できるという利点があります。
また、コメツブツメクサが生育した土壌には窒素化合物が供給されるため、やせた土壌を肥やす効果もあります。
他の広葉雑草の生育を抑制

アレロパシーなどによりオオアレチノギクなどの広葉雑草の生長を抑制することが文献に記載されています(2)。
参考文献
- 高橋修, 藤井伸二(監修). 色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑. ナツメ社 2014.
- 渡辺也恭ら. コメツブツメクサ種子の発芽特性の解明-その硬実性打破の検討-. 日本草地学会誌 2001 47:24-25.