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クローバーの名でも知られるシロツメクサは根粒菌と共生

クローバーの名でも知られるシロツメクサは根粒菌と共生

2021-04-27

四つ葉のクローバーを探したくなるシロツメクサ。

シロツメクサは花かんむりなどを作る遊びも楽しめ、親しみのある植物です。

白い花の蜜はミツバチなどに好まれ、蜂蜜にもなります。

根には窒素固定が行われる根粒が存在し、やせた土壌でも生育します。

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シロツメクサ

シロツメクサ(白詰草)

学名:Trifolium repens
別名:シロツメグサ、クローバー、ホワイトクローバー
分類:マメ科シャジクソウ属
花期:5~8月
分布:ヨーロッパ、アフリカ、西アジア原産、日本全土に帰化

江戸時代にオランダからこわれ物(ガラス器や医学機器)を輸入した際に、クッションとして詰め物に使われ、花が白いのが名前の由来。
一般にクローバーとも呼ばれる。
牧草として世界中に広がる。
茎は地をはって伸び、葉は3枚の小葉で、カタバミ類の葉に似るが、小葉の先がくぼまない点で区別できる。
長さ1 cmくらいの白い花が数十個集まって球状の花序になる。
花は受粉すると外側から順に垂れる。

色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑(参考文献1)
シロツメクサとカタバミの葉の違いを説明する写真
シロツメクサとカタバミの葉の違い

根粒が存在するシロツメクサ

シロツメクサの根粒の写真

マメ科植物の多くは根に根粒が存在しますが、シロツメクサの根にも根粒が存在します。

根粒の中には根粒菌(土壌由来の特定の細菌:Rhizobium leguminosarum biovar trifolii)が共生しています(参考文献2)

この根粒菌には、空気中の窒素分子をアンモニアに変換する特殊な能力があります(この変換プロセスを窒素固定といいます)。

根粒菌の窒素固定のおかげで、シロツメクサは生育に必要なアンモニウム塩や硝酸塩などの窒素化合物を土壌以外から得ることができ、窒素化合物が欠乏したやせた土壌でも生育することができます。

やせた土壌での生育は、他の植物との競合を回避できるという利点があります。

また、シロツメクサが生育した土壌には窒素化合物が供給されるため、やせた土壌を肥やす効果もあります。

切断されたシロツメクサの根粒の写真

根粒を切断すると内部に赤い色素が認められます。

これはレグヘモグロビンという鉄を含む赤いタンパク質の色です(参考文献3)

シロツメクサと根粒菌それぞれ単独ではレグヘモグロビンを合成できませんが、共生して相互作用することによりレグヘモグロビンが形成されるようになると考えられています。

レグヘモグロビンは根粒内の遊離酸素濃度を低くかつ一定の量に保ち、根粒菌が窒素固定を行いやすい環境をつくっています。

シロツメクサは蜜源植物

シロツメクサの花の写真

シロツメクサは寒地の代表的な草本蜜源で、ミツバチが好みます(参考文献4)

シロツメクサを蜜源としたハチミツはクローバー蜂蜜として販売されます。

クローバー蜂蜜はフルクトース含量が多く、蜂蜜が結晶化しにくい(固まりにくい)傾向があります(参考文献5)

シロツメクサの薬用

四つ葉のクローバーの写真

白車軸草(ビャクシャジクソウ)として知られるようです(参考文献6)

薬用として清熱、涼血、寧心(参考文献6)

シロツメクサをもし食べるなら

あまりお勧めしませんが、シロツメクサの食べ方は文献(参考文献7)に記載があります。

葉や花をさっとゆでて、おひたし、サラダ、あえもの、花は甘酢漬けにするそうです(7)

親しみのあるシロツメクサ

シロツメクサの花かんむりの写真

四つ葉のクローバー探しや、花かんむり作りなど、シロツメクサは子供のころから親しみのある野草の1つです。

シロツメクサ遊びをするときは、根粒探しもしてみてくださいね。

参考文献

  1. 高橋修, 藤井伸二(監修). 色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑. ナツメ社 2014.
  2. Delestre C et al. Genome sequence of the clover symbiont Rhizobium leguminosarum bv. trifolii strain CC275e. Stand Genomic Sci 2015 10:121.
  3. Madigan et al. Brock 微生物学. オーム社 2003.
  4. 越後多嘉志. ハチミツの科学. 調理科学 1993 26(1):47-53.
  5. 榎本俊樹. ハチミツの成分特性. 化学と教育 2019 67(3):134-135.
  6. 越尾淑子, 原田真知子. 東京家政大学構内の役に立つ野草. 東京家政大学研究紀要 1997 37(2):43-49.
  7. 越尾淑子. 野草の食べ方. 東京家政大学博物館紀要 2000 5:95-110.