夏場や運動後、「ポリエステルのスポーツウェアやインナーを着ると、綿の服より汗臭さが強くなる」と感じたことはありませんか?
「お気に入りのポリエステルの服、洗ったのに着るとすぐ臭くなる」 「脇のあたりから、酸っぱいような汗臭いニオイがして恥ずかしい」
実は、その感覚は気のせいではありません。ポリエステル素材は、綿素材に比べて、汗臭いニオイの原因となる菌を「爆発的に増やしやすい」という衝撃の事実が、研究で明らかになっているのです。
本記事では、ライフサイエンス系博士である筆者が、花王(株)の研究データや学術論文(エビデンス)をもとに、「なぜポリエステルは臭うのか」という科学的な理由と、今日からできる「4つの具体的なニオイ対策」を詳しく解説します!
明日からの服選びとケアが変われば、ニオイの不安も解消されますよ。
目次
1. エビデンスで判明!ポリエステルは「汗臭いニオイ菌」の最強の繁殖地

「汗そのものが臭い」と思われがちですが、実は違います。汗臭いニオイの正体は、肌にいる常在菌が、汗に含まれる成分を分解(代謝)する際に作り出す「脂肪酸」などの悪臭物質です(※参考文献3, 4, 5)。
つまり、服の中でニオイの原因菌が増えれば増えるほど、ニオイは強烈になります。
花王も特定!ニオイの主犯は「マイクロコッカス菌」

花王(株)の研究(2016年)によると、汗臭いニオイ(脂肪酸)を発生させる主な原因は、Micrococcus(マイクロコッカスまたはミクロコッカス)属細菌であることが報告されています(※参考文献3)。
【綿 vs ポリエステル】ニオイの強さと菌数の比較

研究(※参考文献1)では、運動後のTシャツのニオイを比較しました。 1時間のフィットネスバイク運動で汗をかいた後、28時間後のTシャツを調査した結果、ポリエステルのTシャツは、綿のTシャツに比べて、ニオイが圧倒的に強烈でした。
そして驚くべきことに、綿のTシャツではニオイの原因菌(マイクロコッカス菌)がほとんど認められなかったのに対し、ポリエステルのTシャツでは、この菌が選択的に爆発的に繁殖していたのです。
理由はまだ完全には解明されていませんが、ポリエステル素材の繊維構造や環境は、マイクロコッカス菌にとって「最強の繁殖地」となっているようです。
2. なぜポリエステルは「洗ってもニオイが取れない」のか?

ポリエステルの服で、「洗濯した直後は臭わないのに、着て少し汗をかくとすぐに臭くなる」という経験はありませんか?
これは、前回の着用時に爆発的に増えたマイクロコッカス菌や、菌が作り出した悪臭物質(脂肪酸)が、普通の洗濯では落ちきれずに繊維の奥に残っているからです。
ポリエステルは油となじみやすい(親油性)性質があるため、菌の餌となる皮脂や、油性の悪臭物質が繊維にくっつきやすく、一度染み付くと綿よりも落とすのが難しくなります。
残った菌が、新しい汗(水分と栄養)を得て再び活動を始めるため、着てすぐにニオイが復活してしまうのです。
3. ポリエステル素材の服での汗臭いニオイへの4つの対策
ポリエステル素材のスポーツウェアや服を着る必要がある場合、どうすればニオイを抑えられるのでしょうか?
博士が推奨する、科学的根拠に基づいた4つの対策をご紹介します。
対策①:インナー(下着)は「綿100%」を選ぶ

綿素材はニオイの原因菌マイクロコッカス菌が増殖しにくい素材です。 ポリエステルの服を着る際は、直接肌に触れるインナーを「綿100%」にすることで、ニオイ菌の繁殖を大幅に抑えることができます。
- ポイント:綿と合成繊維(ポリエステルやポリウレタン)の混合素材は、ニオイ菌が増える可能性があるため避けましょう。キャミソールよりも、脇をカバーできる袖付きのインナーがおすすめです。
対策②:脇汗パッドで菌の餌(汗)をシャットアウト
ニオイが最も気になる脇の下には、脇汗パッドを使用するのが効果的です。 菌の繁殖に必要な汗(水分と栄養)をパッドが吸収してくれるため、服の中で菌が増えるのを物理的に防げます。
対策③:服を着る前に「銀イオンアルコール」をスプレー
服の中で菌を増やさないためには、先手を打つのが有効です。 銀イオン(Ag+)を含むアルコール溶液(60%程度)を、服を着る前に裏側(特に脇や背中)からスプレーしておきましょう。アルコールによる除菌と、銀イオンによる持続的な抗菌作用で、マイクロコッカス菌の増殖を強力に抑えられる可能性があります。
- 注意:アルコールは衣類を変色させる可能性があるため、目立たない部分で試してから使用してください。
対策④:すでにニオイが気になる場合は、消臭・除菌効果のある制汗剤を
もしポリエステルの服を着ていてニオイが発生してしまった場合は、消臭と殺菌(除菌)効果の両方がある制汗剤(デオドラントスプレー等)を服の上から(または肌に)使用するのが最も即効性があります。
4. 汗臭いニオイが染み付いた服の正しい洗濯方法

すでにニオイが染み付いてしまったポリエステルの服(特にスポーツウェア)は、普通の洗濯では解決しません。
① 脱いだらすぐに洗う、が鉄則
マイクロコッカス菌は時間が経つほど増殖し、悪臭物質を作ります。スポーツウェアなどは、脱いだらなるべく速やかに洗濯しましょう。すぐに洗えない場合は、前述の「銀イオンアルコール」をスプレーして菌の活動を抑えておくのがおすすめです。
② 抗菌・消臭効果の高い洗剤で「つけ置き洗い」
繊維の奥に残った菌や悪臭物質(脂肪酸)を落とすには、抗菌・消臭効果の高い洗剤(できれば粉末タイプが強力)を使い、40℃程度のお湯につけ置きするのが効果的です。
- 洗面器やタブに40℃のお湯と洗剤を入れる。
- 服を30分〜1時間程度つけ置きする。
- そのまま(または軽くすすいで)、通常通り洗濯機で洗う。
他の洗濯物に菌やニオイが移るのを防ぐため、ニオイが強い服は分けて洗うことも検討してください。
5. まとめ:ポリエステルの服と上手に付き合い、汗臭さから解放されよう!
- ポリエステルの服は、綿の服より汗臭いニオイが強烈になる傾向がある。
- その理由は、ポリエステル素材がニオイの原因菌「マイクロコッカス菌」を選択的に爆発的に増やすから。
- ポリエステルは油となじみやすいため、菌や悪臭物質が繊維に残って洗ってもニオイが復活しやすい。
- 対策は、「綿100%インナー」」「脇汗パッド」「銀イオン抗菌スプレー」「消臭制汗剤」をうまく組み合わせる。
- 臭う服は、40℃のお湯で抗菌洗剤につけ置きしてから洗濯する。
ポリエステル素材の「臭いやすさ」という特性を正しく理解し、適切な対策とケアをすることで、これまでのニオイの悩みはきっと解消されます。快適な衣服ライフを送ってくださいね!
参考文献
- Callewaert C et al. Microbial odor profile of polyester and cotton clothes after a fitness session. Appl Environ Microbiol 2014 80(21):6611-6619.
- McQueen RH et al. Odor intensity in apparel fabrics and the link with bacterial populations. Text Res J 2007 77:449-456.
- 汗をかいた後に衣類から発生するニオイ成分とその原因菌を解明 ~衣類上のマイクロコッカス菌が汗様臭を発生~. 花王(株)ニュースリリース(2016年06月08日). https://www.kao.com/jp/corporate/news/rd/2016/20160608_001/
- Leyden JJ et al. The microbiology of the human axilla and its relationship to axillary odor. J Invest Dermatol 1981 77:413-416.
- James AG et al. Fatty acid metabolism by cutaneous bacteria and its role in axillary malodour. World J Microbiol Biotechnol 2004 20:787-793.
- Kooken JM et al. Characterization of Micrococcus strains isolated from indoor air. Mol Cell Probes 2012 26(1):1-5.
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