夏場や運動後、「なんだか自分が汗臭い…」と不安になったことはありませんか?
「制汗剤を使っているのに、夕方になると臭う」 「お気に入りのポリエステルの服が、洗っても汗臭さが取れない」
実は、そのニオイの主役は汗そのものではなく、服の中で繁殖した「ニオイ菌」です。そして、あなたが選んでいる「服の素材」が、そのニオイ菌を爆発的に増やしている可能性があるのです。
本記事では、ライフサイエンス系博士である筆者が、学術論文のエビデンス(科学的根拠)をもとに、「ニオイ菌を増やしやすいNG素材」と「ニオイ菌を劇的に抑える最強素材」を詳しく解説します!
明日からの服選びが変われば、ニオイの不安も解消されますよ。
目次
1. 衝撃の事実!ポリエステルは「汗臭いニオイ菌」のすみか?
そもそも、汗臭いニオイはなぜ発生するのでしょうか?
それは、肌にいる常在菌(Micrococcus属細菌など)が、汗や皮脂を分解する際に悪臭物質を作り出すからです(※参考文献1, 4)。
つまり、服の中でニオイ菌が増えれば増えるほど、ニオイは強くなります。
ポリエステルの服が臭う理由

吸汗速乾で人気の「ポリエステル」などの合成繊維ですが、実はニオイ菌にとっては最高の繁殖環境です。ポリエステルの繊維はニオイ菌を選択的に増やしてしまい、結果として汗臭いニオイの発生を助長してしまうことが研究で分かっています(※参考文献1)。
2. 【論文で証明】ニオイ菌を抑える最強の天然・再生繊維3選

ニオイ対策で服を選ぶなら、ニオイ菌の繁殖を抑える素材を選ぶのが鉄則です。博士が自信を持っておすすめする素材は以下の3つです。
最強素材1:レーヨン(Viscose Rayon)
絹のような光沢が特徴のレーヨンは、ニオイ菌の抑制効果において非常に優秀です。論文(※参考文献1)によると、レーヨンの布は、代表的な汗臭いニオイ菌であるMicrococcus属細菌の数を大きく減少させました。また、足のニオイなどの原因菌である表皮ブドウ球菌(※参考文献2)の数も大きく減らす効果が認められています。
最強素材2:リヨセル(Lyocell / テンセル)
木材パルプを原料とし、地球に優しいエコ繊維としても知られるリヨセル。 2010年の論文(※参考文献3)では、異なる素材での汗由来細菌(ニオイ菌を含む)の増殖を比較しました。結果、男性・女性問わず、リヨセルの布は綿と同等かそれ以上に細菌の増殖を抑える効果が示唆されました。
最強素材3:綿(Cotton)
古くから愛される綿(コットン)も、ニオイ対策には有効です。 ポリエステルと違い、綿は汗臭いニオイ菌の繁殖を「抑える(または増やさない)」効果があります(※参考文献1, 3)。肌触りも良く、手軽に手に入るのも魅力です。
3. 服選びの罠!合成繊維との「混合素材」はニオイ対策に逆効果?

素材タグを見て、「綿100%」ではなく「綿+ポリエステル」などの混合素材(ブレンド)を選ぶ際は注意が必要です。
最強素材である綿・レーヨン・リヨセルが含まれていても、ポリエステルなどの合成繊維が混ざっていると、その部分でニオイ菌が繁殖してしまう可能性があります。
論文で認められた「混合素材の落とし穴」
研究(※参考文献1)では、以下の混合素材の使用済みTシャツからも、ニオイ菌であるMicrococcus属細菌が検出されています。
- 95% 綿 + 5% エラスタン(ポリウレタン)
- 35% ポリエステル + 34% 綿 + 28% リヨセル + 3% エラスタン
ニオイを完全に抑えたいなら、できるだけ「綿100%」「レーヨン100%」など、合成繊維が混ざっていないものを選ぶのがベストです。
4. 補足:最強素材(レーヨン・リヨセル)のメリットと正しいお手入れ方法

綿以上にニオイを抑える効果が期待できるレーヨンとリヨセルですが、それぞれ特徴とお手入れ方法に違いがあります。
レーヨン(Viscose)
- 特徴:光沢があり滑らかで絹のような風合い。
- 注意点:水に非常に弱い。水洗いで縮みやすく、ダメージを受けやすい(※参考文献6)。
- お手入れ:基本はクリーニングが安心。家で洗う場合は、中性洗剤(ドライマーク専用)で短時間の押し洗いやつけ置き、平干しが必須。
リヨセル(Tencel / 商標テンセル)
- 特徴:ソフトで美しい光沢感。洗濯耐久性はレーヨンより高い(※参考文献7)。環境負荷が低い(※参考文献7)。
- お手入れ:洗濯機もOKだが、中性洗剤(おしゃれ着用)+弱水流+洗濯ネットを推奨(※参考文献8)。弱アルカリ性洗剤は縮みや硬化の原因になるため避ける。
お気に入りの服は「宅配クリーニング」もおすすめ
レーヨンやリヨセルの服は、家で洗うのが少し面倒です。 失敗したくないお気に入りの服は、宅配クリーニングサービスを利用すると便利です。自宅から送り、クリーニング後に保管してくれるサービスもあるので、衣替えにも活用できますよ。
5. まとめ:体臭・汗臭さに悩むなら、明日から「服の素材」を見直そう!
- 汗臭さの正体は汗ではなく、服の中のニオイ菌の繁殖
- ポリエステルの服は、汗臭いニオイ菌の繁殖を助長する
- ニオイ菌を劇的に抑える最強素材は、「レーヨン」「リヨセル」「綿」
- 合成繊維との混合素材はニオイが残る可能性があるため注意
「何をしても汗臭さが治まらない」と悩んでいた方は、ぜひ一度、お持ちの服の素材をチェックしてみてください。レーヨンや綿の服に買い替えるだけで、これまでの悩みが嘘のようにスッキリするかもしれませんよ!
参考文献
- Callewaert C et al. Microbial odor profile of polyester and cotton clothes after a fitness session. Appl Environ Microbiol 2014 80(21):6611-6619.
- 小林真次. 表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)と不快な足臭との関係について. 日本細菌学雑誌. 1990 45:797-800.
- Teufel L et al. Material-dependent growth of human skin bacteria on textiles investigated using challenge tests and DNA genotyping. J Appl Microbiol 2010 108(2):450-461.
- Kooken JM et al. Characterization of Micrococcus strains isolated from indoor air. Mol Cell Probes 2012 26(1):1-5.
- 馬場本(堀ロ)絵未. レーヨンの化学(基礎化学品製造の実際と高校での教育実践). 化学と教育 2012 60(4): 172-177.
- 福田瑛子, 平林知美. 洗濯による織物の収縮と洗剤の影響. 和洋女子大学紀要 家政系編 2020 42:51-60.
- 奥林里子. リヨセル繊維のフィブリル化とピリング現象. 繊維機械学会誌 2006 59(6):331-334.
- 笠原勝次ら. リヨセル布の家庭洗濯による物性への影響. 繊維製品消費科学2008 49(2): 131-137.
- そのため、リヨセルを素材とした服でも、ニオイの原因菌の増殖が抑制されることが期待されます。
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