プロバイオティクスは摂取した人に有益な効果がある微生物!

プロバイオティクスは摂取した人に有益な効果がある微生物!

2020-11-05

腸内フローラは私たちの健康と関連しています。

最近では“腸活”という言葉も聞かれるようになり、健康のために腸内フローラのメンテナンスや改善に積極的に取り組む人が増えてきました。

ここでは、腸内フローラに関係した健康増進の方法の1つである、プロバイオティクス(Probiotics)に関してライフサイエンス系博士(本ブログの管理人)が解説します。

スポンサーリンク

プロバイオティクスの定義

プロバイオティクスの定義としては、以下の二つが広く受け入れられています(参考文献1)

  1. 腸内フローラのバランスを改善することによりヒトに有益な作用をもたらす生きた微生物(英国の微生物学者Fuller提唱、1989年)
  2. 十分量を摂取したときに宿主に有益な効果を与える生きた微生物(FAO/WHO提唱、2002年)

二つの定義からは、プロバイオティクスは食べた人に有益な効果がある生きた微生物ということができそうです。

プロバイオティクスに用いられる微生物

プロバイオティクスの医療関係の用途を選ぶイメージの画像

プロバイオティクスとして、Lactobacillus属細菌*(乳酸菌)とBifidobacterium属細菌(ビフィズス菌)が多く用いられています(参考文献1)

*Lactobacillus属細菌は2020年にLactobacillus属、Lacticaseibacillus属、Limosilactobacillus属を含む計25属に再分類されました(9)。そのため、以前はLactobacillus属だった細菌の多くは学名が変更となりました。

そのほかにも、Enterococcus属細菌、Lactococcus属細菌、Propionibacterium属細菌、Streptococcus属細菌、Saccharomyces属酵母なども含め195菌種が発酵食品をはじめとした食品に利用されているそうです(国際酪農連盟報告、2012年)(参考文献2)

プロバイオティクスでは、単一の微生物だけでなく、複数種の微生物を混合して使用する場合があります。

代表的なプロバイオティクス微生物の一覧

  • Lactobacillus acidophilus(乳酸菌、アシドフィルス菌としても知られる)
    [菌株例:NCFM株(ダニスコ)、L-92株(アサヒグループホールディングス)]
  • Lactobacillus gasseri(乳酸菌)
    [菌株例:OLL2716株(LG21乳酸菌、明治)、SBT2055株(ガセリ菌SP株、雪印メグミルク)]
  • Lactobacillus johnsonii(乳酸菌)
    [菌株例:La株(LC1、ネスレ)]
  • Lacticaseibacillus casei(乳酸菌、旧学名Lactobacillus casei、カゼイ菌としても知られる)
    [菌株例:YIT 9029株(シロタ株、ヤクルト)、NY1301株(日清食品)]
  • Lacticaseibacillus paracasei(乳酸菌、旧学名Lactobacillus paracasei
    [菌株例:MCC1849株(シールド乳酸菌、森永乳業)]
  • Lacticaseibacillus rhamnosus(乳酸菌、旧学名Lactobacillus rhamnosus
    [菌株例:GG株(LGG、クリスチャン・ハンセン)]
  • Limosilactobacillus reuteri(乳酸菌、旧学名Lactobacillus reuteri
    [菌株例:DSM 17938株(ロイテリ菌、オハヨー乳業)]
  • Bifidobacterium animalis subsp. lactis(ビフィズス菌)
    [菌株例:BB-12株(クリスチャン・ハンセン)]
  • Bifidobacterium bifidum(ビフィズス菌)
    [菌株例:YIT10347株(B・ビフィダムY株、ヤクルト)]
  • Bifidobacterium longum subsp. longum(ビフィズス菌)
    [菌株例:BB536株(森永乳業)]
  • Bifidobacterium breve(ビフィズス菌)
    [菌株例:A1株(ビフィズス菌A1、森永乳業)]
  • Enterococcus faecalis(乳酸菌、旧学名Streptococcus faecalis
    [菌株例:BIO株(コンクビオゼニン、目黒研究所]

プロバイオティクスを含む食品

ヨーグルトの写真

ヨーグルトや納豆、漬物などの発酵食品にはプロバイオティクスとなる生きた微生物が存在します。

これらの食品を食べることで、プロバイオティクスとなる生きた微生物を摂取することができます。

ただし、製造の過程で微生物が取り除かれたり、死滅したりしている食品もあるかもしれません。

プロバイオティクスを含む食品では、プロバイオティクスとなる生きた微生物の数が少なくて健康上の利益につながらない場合もあります。

プロバイオティクス製品

サプリメントの写真

プロバイオティクス製品では、適切な量で摂取された場合に健康への効果がある生きた微生物が含まれます。

そのため、プロバイオティクスの効果を得るには、上記のプロバイオティクスを含む食品よりプロバイオティクス製品のほうが好ましいです。

プロバイオティクス製品は、サプリメントやヨーグルトのような経口用製品、また坐薬やクリームのような経口用以外の製品としても利用できます(参考文献3)

ただし、プロバイオティクス製品を利用する前に、まずは『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』サイトの「プロバイオティクスについて知っておくべき5つのこと」(https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/communication/c03/07.html)を、お読みいただくことをお勧めします。

プロバイオティクスの効果

海辺で手を挙げた健康そうな女性の写真

健康な人への効果

青年・壮年期の健康な人の腸内フローラ(腸内細菌叢)は多様性と安定性があり、変化に対して回復力を持つと考えられています。

多くのプロバイオティクスは、何らかの理由(例:抗生物質の使用)で健康な人の腸内フローラが乱れた場合に元の正常な状態に戻るのを助ける効果があります。

また、プロバイオティクスの種類によっては、風邪(インフルエンザ含む)に対する効果(発熱期間の短縮などの症状の軽症化)が期待されるものがあります。

安定性の高い腸内フローラを持つ健康な人の場合、プロバイオティクスの腸内フローラに対する影響は検出するのが難しいようです。

そのため、腸内フローラ検査を行っても、プロバイオティクスの影響ははっきりとは確認できないかもしれません。

例えば、健康な人にプロバイオティクスを加えたヨーグルトを摂取させた場合でも、腸内細菌叢の変化を確認できなかったことが報告されています(参考文献4)

疾病に関する効果

プロバイオティクスは、以下の疾病への効果が報告されています。

  • 感染症(抗生物質関連下痢症、C. difficile 関連下痢症、ロタウイルスが原因である急性下痢症)
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)
  • がん治療の負荷の軽減(大腸がん摘出手術後の感染症や放射線治療、抗がん剤治療における下痢といった副作用の軽減)
  • アレルギー(アトピー性皮膚炎、湿疹、スギ花粉症)
  • 肥満および代謝系疾患(2型糖尿病)
  • ストレスおよび精神・神経変性疾患(慢性疲労症候群、アルツハイマー病)

ただし、すべてのプロバイオティクス菌種が効果を示すわけではありません。
効果は特定の菌種(菌株)によってのみ得られる可能性があります。

希望する有益な効果に合わせてプロバイオティクスの微生物(単一の菌株または複数の菌株の組み合わせ)を選択する必要があります。

ここで紹介したプロバイオティクスの効果は、文献(腸内細菌学雑誌 2019 33(4):175-189 (参考文献1))を参考に記述しています。効果に関係するプロバイオティクス微生物の種類(菌株)に関しては、この文献を参照してください。

プロバイオティクス製品によっては健康効果(機能性)を表示しているものがあります(特定保健食品、機能性表示食品)。使用されている微生物や表示されている機能性を参考にプロバイオティクス製品を選ぶとよいと思います。

もし、プロバイオティクス製品を利用される場合は事前に製品の説明をよく確認してくださいね。

効果を得るためにはプロバイオティクスを継続して摂取することが必要

カレンダーの日付の写真

近年の研究から、摂取されたプロバイオティクスの微生物の多くは腸に定着せず、体外へ排出されることが明らかになってきました(参考文献5)

そのため健康増進の効果を得るためには、プロバイオティクスの微生物を継続して摂取することが必要です。

プロバイオティクスの微生物が腸内で増える必要はないかもしれない

プロバイオティクスの有効性は、腸内フローラ(腸内細菌叢)の劇的な変化(プロバイオティクス微生物の定着・増殖)によるのではなく、常在菌の機能を変化させることと関連している可能性があります(参考文献5)

殺菌された乳酸菌を配合した野菜飲料摂取による排便促進や抗ウイルス効果など、殺菌された乳酸菌摂取による効果の報告もあることから(参考文献6)、プロバイオティクスの定義(生きた微生物)とは異なりますが、死菌でも有益な効果があると最近は考えられています。

まとめ

プロバイオティクスに関して紹介いたしました。

まとめると以下となります。

プロバイオティクス製品を利用する場合は、事前に製品の説明をよく確認し、必要に応じで医療従事者に相談してから使用してくださいね。

  • プロバイオティクスは食べた人に有益な効果がある生きた微生物のこと
  • プロバイオティクスには様々な種類の微生物が用いられ、それらの中でもLactobacillus属細菌(乳酸菌)とBifidobacterium属細菌(ビフィズス菌)が多く用いられる
  • プロバイオティクスを含む食品では、プロバイオティクスとなる生きた微生物の数が少なくて健康上の利益につながらない場合もある
  • プロバイオティクスの効果を得るにはプロバイオティクス製品の利用が好ましい
  • 多くのプロバイオティクスは、健康な人の腸内フローラが乱れた場合に元の正常な状態に戻るのを助ける効果がある
  • 疾病に対する効果があるプロバイオティクスも存在する
  • 健康増進の効果を得るためには、プロバイオティクスの微生物を継続して摂取することが必要
  • プロバイオティクスの微生物は腸内で増える必要はないかもしれない(死菌でも効果あり)

参考文献

  1. 加藤豪人. ヒトにおけるプロバイオティクスの有効性と腸内細菌叢との関わり. 腸内細菌学雑誌 2019 33(4):175-189.
  2. Bourdichon F et al. Food fermentations: microorganisms with technological beneficial use. Int J Food Microbiol 2012 154(3):87–97.
  3. プロバイオティクスについて知っておくべき5つのこと
    『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』サイト   https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/communication/c03/07.html
  4. Engelbrektson AL et al. Analysis of treatment effects on the microbial ecology of the human intestine. FEMS Microbiol Ecol 2006 57(2):239–250.
  5. 尾﨑隼人ら. Ⅲ.慢性便秘症の治療 各論(便秘症と腸内フローラ). 日本大腸肛門病会誌 2019 72(10):609-614.
  6. 渡邉卓巳ら. 加熱殺菌した乳酸菌Enterococcus faecalis KH2株の摂取が健常な日本人成人の腸内環境に及ぼす影響と安全性の検討―ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験―. Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)2020 48(4):611-624.
  7. 岩淵紀介. ヒト常在ビフィズス菌の有用性とその応用技術. Milk Science 2017 66(3):261-268.
  8. Wong CB et al. Beneficial effects of Bifidobacterium longum subsp. longum BB536 on human health: Modulation of gut microbiome as the principal action. Journal of Functional Foods 2019 54:506–519.
  9. Zheng J et al. A taxonomic note on the genus Lactobacillus: Description of 23 novel genera, emended description of the genus Lactobacillus Beijerinck 1901, and union of Lactobacillaceae and Leuconostocaceae. Int J Syst Evol Microbiol 2020 70(4):2782–2858.