テレビのCMなどで、台ふきんでテーブルを水拭きするとそのせいでテーブルに雑菌(細菌やカビなどの微生物)が広がるイメージ映像を見かけたことはないでしょうか?
こういうCMを見ると、自分の家の台ふきんや食器用ふきんも汚いのかもしれないと心配になってしまいますよね。
残念ながらその心配事は現実に起きている場合が多く、ふきんは雑菌に汚染されている可能性があります。
特に、ふきんが臭い場合は、雑菌がふきんの中でたくさん増えていることが考えられます。
ふきんで拭いてきれいにしたつもりが、実は雑菌を塗りつけて自分や家族の健康リスクを高めているかもしれません。
ふきんの使用環境から考えると、ふきんから雑菌を排除し、清潔に保つのは現実的には難しそうです。
衛生的な観点から、台ふきんや食器用ふきんなどのふきんの使用はやめ、キッチンペーパーなどの使い捨て可能なもので代用することをおすすめします。
以下では、ライフサイエンス系博士(本ブログの管理人)がふきんの雑菌汚染について紹介します。
目次
台ふきんの雑菌汚染の調査例

日本の一般的な家庭で使用されていた調理台やテーブル等を拭くための台ふきん(7枚)の雑菌汚染を調査した研究では、台ふきんが非常に多くの雑菌で汚染されていたことが報告されています(下記参照)(参考文献1)。
検出された雑菌(微生物)の数(参考文献1)
台ふきん100 cm2(10 cm×10 cmの面積)あたり
一般生菌数(主に細菌):1000万 cfu~10億 cfu
(cfuはcolony forming unitの略で生きた微生物の数を数える単位)
真菌数(カビと酵母):100万 cfu ~10億 cfu
このような雑菌汚染された台ふきんで水拭きすると、テーブルには台ふきん由来の雑菌がたくさん塗りつけられて、衛生的に好ましくありません。
食器用ふきんの雑菌汚染の調査例

上記の台ふきんの調査を行った研究では、食器や調理器具の水分を拭く食器用ふきんについても雑菌汚染の調査が行われました(参考文献1)。
その結果、日本の一般的な家庭で使用されていた食器用ふきん(6枚)は、台ふきんよりは少ないものの、雑菌が存在していました(下記参照)。
検出された雑菌(微生物)の数(参考文献1)
食器用ふきん100 cm2(10 cm×10 cmの面積)あたり
一般生菌数(主に細菌):1万 cfu~100万 cfu
真菌数(カビと酵母):1万 cfu ~100万 cfu
食器用ふきんは、食品や口に直接触れる食器などを拭くのに使用されます。
そのため、食品の雑菌汚染や食中毒などにつながる可能性があり、食器用ふきんの雑菌汚染には注意が必要です。
ふきんを洗浄・消毒しても雑菌は増える可能性が高い

本記事を書き始めたときは、ふきんの衛生的な洗い方(洗浄・消毒)を紹介するつもりだったのですが、関連論文を調べるうちにふきんの雑菌汚染を防ぐことは困難という考えに至りました。
ふきんの雑菌の数は、80℃以上の熱湯消毒や塩素系漂白剤による消毒などで減らすことが可能です(参考文献1)。
しかしながら、それらの消毒方法でも、ふきんの中の雑菌を完全に死滅させることは困難です。
また、消毒後のすすぎや、乾燥中に新たな雑菌汚染を受けます。
そして、濡れたふきんを乾燥している間に、ふきんの中で雑菌が増えてしまう可能性があります。
また、ふきんの雑菌汚染を防ぐには使用後の洗浄・消毒が基本になりますが、面倒な作業であり使用するたびに実施するのは現実的には困難です。
週1回の洗浄・消毒などではふきんの雑菌汚染を防ぐ効果は望めません。
ふきんは雑菌汚染されるものと考え、衛生的な面からふきんを使用しないことをおすすめします。
ふきんを洗濯機で洗うのはNGです

本サイトでは上記のようにふきんを使用しないことを推奨しますが、念のためにふきんを洗濯機で洗うのはやめたほうが良いことを書いておきます。
洗濯機を用いた洗濯では汚れを落とすことはできますが、雑菌を無くすことはできません。
それどころか、洗濯の際に他の洗濯物や洗濯機由来の雑菌がふきんに移り、ふきんの雑菌汚染につながります(洗濯によって「たくさんの細菌に汚染された衣類」から「細菌の少ないきれいな衣類」へ細菌が移る可能性が研究論文(参考文献2)で指摘されています)。
もしご家庭にくさいニオイがするふきんがあるならば、それは洗濯機で洗ったものではありませんか?
洗濯機で洗うことによって、生乾き臭で知られるモラクセラ菌などのニオイの原因菌がふきんを汚染することも考えられます。
また、汚れた洗濯物には健康リスクの高い雑菌が存在する可能性もあります。
ふきんを洗う必要がある場合は、台所用洗剤などを使って個別に手洗いしてください。
モラクセラ菌や洗濯などに関しては関連記事「洗濯したのに臭い!生乾き臭の原因と発生を抑えるための7つの方法」があるのでよかったら読んでみてください。

ふきんの代用は使い捨て可能なキッチンペーパーなどで
衛生面から考えて、ふきんの代用は使い捨て可能なキッチンペーパーなどが好ましいです。
洗って繰り返し使うと雑菌汚染の可能性があるので、使用したら捨てるようにしてください。
ふきんの代用となるキッチンペーパーの例
ボックスタイプが使いやすくておすすめです。
「スコッティ ファイン 洗って使える ペーパータオル」は食器用ふきんの代用におすすめです。サイズが大きく、吸い取った水分を絞ることができ、効率よく食器などの水分を拭くことができます。
テーブルを拭くときは水拭きよりもアルコール溶液を使ったほうがさらに衛生的です。
まとめ
ふきんが臭い場合は、ふきんに雑菌が多く存在する可能性があります。
ふきんは雑菌に汚染されるものと考え、衛生的な面から使用しないことをおすすめします。
ふきんの代用品はキッチンペーパーなどの使い捨て可能なものが好ましいです。
ふきんを洗う手間からも解放されますよ。
参考文献
- 岡崎貴世. 台ふきんと食器用ふきんの微生物汚染状況. 四国大学紀要 2015 42:13-16.
- Callewaert C et al. Bacterial exchange in household washing machines. Front Microbiol 2015 6:1381.
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