部屋の壁や天井に突然あらわれる、巨大な蜘蛛「アシダカグモ」。
足を広げると大人の手のひらサイズ(7〜12 cm)にもなり、素早く動き回るため、遭遇するとパニックになってしまいますよね。
「毒はあるの?噛まれる?」「殺虫剤で駆除すべき?」「どうやって外に逃がせばいい?」と焦っている方も多いはずです。
結論から言うと、アシダカグモには人間を害する強い毒はなく、ゴキブリを食べてくれる最強の「益虫」です。 殺してしまうのは非常にもったいないため、「虫取り網」や「家にある身近な道具」を使って安全に外へ逃がすのがベストです。
この記事では、ライフサイエンス系博士(Ph.D.)のハットンが、学術論文に基づくアシダカグモの習性と、直接触れずに安全に捕まえて外へ逃がす実践ステップを分かりやすく解説します。
【この記事の要点】
- 毒性と安全性: 人間に害を与える毒はなく、性格も臆病。人を襲うことはない。
- 益虫の理由: 家の中のゴキブリを捕食する天敵。1室に1匹しか定着しないテリトリー意識を持つ。
- 最高の捕獲ツール: 「虫取り網」を使えば距離を保って傷つけずに捕獲可能!
- 網がない場合: ダンボール、大きなコップ+下敷き(紙)でも代用可能。
目次
アシダカグモの特徴と「殺してはいけない」理由

アシダカグモ(学名: Heteropoda venatoria)は、網を張らずに歩き回って獲物を捕らえる「徘徊性(はいかいせい)」のクモとして日本最大級の大きさです。
1. 人間への危険性は?毒はある?
アシダカグモは見た目の威圧感がすごいですが、人間に危害を加えるような強い毒はありません。性格は非常に臆病で、人間が近づくと一目散に逃げ出します。こちらから素手で強く掴んだりしない限り、噛みついてくることもありません。
2. ゴキブリを駆逐する最強の「益虫」
アシダカグモは主にゴキブリや夜間の害虫を捕食してくれます。
学術的にも「屋内性クモ類の中で最も保護すべき種類(安富・梅谷 1995)」とされています。テリトリー意識(縄張り)が強く、基本的に1つの部屋に1個体しか生息しないという珍しい習性を持っています。
3. 寒さに弱く、家の中に侵入してくる
寿命は約3年で、体が平らなためわずかな家の隙間から侵入します。寒さに非常に敏感で、氷点下になる屋外では冬を越せないため、暖房の効いた建物内に逃げ込んでくることがあります(Edwards Jr 2003)。
【準備】アシダカグモを捕まえるなら「虫取り網」が最強!

アシダカグモは動きが非常に速く、壁や天井を滑るように移動します。
スプレーなどの殺虫剤は効きにくいうえ、暴れ回って見失うリスクがあります。そこでおすすめなのが「虫取り網」です。
- 一定の距離を保てる: 巨大なクモに近づく恐怖感を減らせる。
- 素手で触らなくていい: 触覚的な気持ち悪さを回避。
- クモを傷つけない: 益虫を生かしたまま外に逃がせる。
我が家では玄関に「生物捕獲用の虫取り網」を常備しています。
虫取り網を使ったアシダカグモの捕まえ方(6つの手順)
捕獲成功の最大のコツは「焦らず冷静に対処すること」です。
ステップ1:発見したら見失わないようにする

2人以上いる場合は、1人がクモを見張り、もう1人が虫取り網を取りに行きます(ほうきや軍手もあると便利です)。1人の場合は、目を離さず静かに網を取りに行きましょう。
※物陰に隠れた場合は無理に追い回さず、ほうきで優しく誘導するか出てくるのを待ちます。
ステップ2:広いスペースに誘導して網をかぶせる

クモが壁や床などの平らな場所にいるタイミングを見計らい、上から素早く虫取り網をかぶせます。隙間があると逃げてしまうため、枠を壁にピッタリ密着させましょう。
ステップ3:網の奥(先端)へ誘導する


網の袋の先端を手で引っ張って空間を広げます。
網の枠を壁にくっつけたまま少し動かしたり、ほうきで少しおどかしたりして、クモを網の奥側(袋の先端)へ移動させます。
【裏技】網の奥に行ってくれない時
網の口が上を向くように素早くクルッと回し、壁などで網の枠を「トントン」と叩くと、自重で網の底(先端)へ落ちていきます。
ステップ4:網の口を閉じて閉じ込める
アシダカグモが網の先端に移動したら、虫取り網を素早く回すように返し(クルッと回す)、虫取り網の枠で網の口をふさぎ、アシダカグモを網の中に閉じ込めましょう。

ステップ5:静かに外へ連れて行き解放する
そのまま外(ベランダや庭)へ連れて行き、網の口を開けて地面や草むらにそっと逃がしてあげれば完了です!
虫取り網がない場合の代用テクニック
もし「今すぐに家にあるものでなんとかしたい!」という場合は、以下の方法も有効です。
- 大きな透明コップ(ボウル、ゴミ箱)+下敷き(厚紙)
- 壁に止まっているクモの上にコップをかぶせる(ボウル、ゴミ箱などでも可)。
- 壁とコップの隙間に滑り込ませるように下敷きや厚紙を差し込む。
- 下敷きで蓋をしたまま外へ持っていき、解放する可
- ダンボール+ほうき
- 床にダンボール箱を横向きに置く。
- ほうきを使ってアシダカグモをダンボールの中に優しく追い込む。
- パタッと蓋をして外へ持っていく。
根本解決:アシダカグモを家に寄せ付けない対策
アシダカグモが家の中に入ってくる最大の理由は「餌となるゴキブリがいるから」です。
アシダカグモの侵入を防ぐ最も効果的な方法は、家の中および周辺のゴキブリを徹底駆除することです。餌がなくなれば、アシダカグモは自然と別の場所へ去っていきます。
屋外からのゴキブリ侵入対策については、こちらの記事も併せて参考にしてください。
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まとめ:アシダカグモは殺さず安全に逃がそう
- 毒性: 人間を害する毒はなく、ゴキブリを駆逐してくれる益虫。
- 捕獲方法: 動きが速いため「虫取り網」で上からかぶせるのが最も安全で確実。
- 侵入対策: アシダカグモが出現するのはゴキブリがいるサイン。ゴキブリ対策を徹底する。
見た目の大きさに驚いてしまいますが、正しい対処法を知っていれば怖がる必要はありません。もし、お部屋で見かけたら、ぜひ虫取り網や身近な道具を使って、優しく外に逃がしてあげてくださいね。
参考文献
- 岡田一次, 小野正人. ニホンミツバチとクモ (蜘妹). ミツバチ科学 1994 15(2):69-74.
- Edwards Jr GB. Huntsman Spider, Heteropoda venatoria (Linnaeus) (Arachnida: Araneae: Sparassidae). EDIS 2003 2003(16).
- 安富和男, 梅谷献二. 原色図鑑/改訂・衛生害虫と衣食住の害虫. 全国農村教育協会 1995.
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