家の中に砂粒のような木くずが落ちていませんか?
床や天井裏、家具の周囲などに砂粒のような木くずが落ちていれば、それをよく観察してみてください。
それはアメリカカンザイシロアリの糞の可能性があります。
糞であれば、1 mm程度の俵のような形をしていて、表面に6本の溝があります(参考文献1)。
もしこれがあるならアメリカカンザイシロアリによる被害が発生しています。
駆除の際に被害範圏を知る有力な手がかりとなるので、砂粒のような糞は掃除せずにそのままにしておきましょう。
すぐにシロアリ駆除の専門業者に駆除をお願いしてください。
また、近所でアメリカカンザイシロアリの被害が出た場合は、一度シロアリ駆除の専門業者に対策を相談しておくと安心です。
アメリカカンザイシロアリ
アメリカカンザイシロアリ(学名:Incisitermes minor)は、北アメリカの太平洋沿岸地域原産でもともとは日本にいませんでした(参考文献1)。
北米産の木材や家具の輸入などによって、材内部に生息したまま日本へ移入して定着したと考えられています(参考文献2)。
日本では1976年に東京都江戸川区の木造2階建共同住宅で確認されたのが最初の記録となります(参考文献1)。
日本で主な防除対象である地下シロアリ(イエシロアリやヤマトシロアリ)は、地下(土壌中)に巣をつくり、土壌中を進みながら木造住宅や樹木に被害を与えます(参考文献2)。
一方、アメリカカンザイシロアリは、乾材シロアリと呼ばれ、主に乾燥した木材を食害し、土壌との関係がありません(参考文献2)。
そのため、地下シロアリを対象としたこれまでの床下中心の防除処理は、アメリカカンザイシロアリに対してはほとんど効果がありません(参考文献2)。
アメリカカンザイシロアリは、乾燥した木材を食べて砂粒状の糞をします(参考文献1)。
糞は1 mm程度の俵のような形をしていて、表面に6本の溝があります(参考文献1)。
糞は、床や天井裏、敷居などに散在し、木材に開いた直径約3~4 mmの穴の下に積もっていることがあります(参考文献1)。
アメリカカンザイシロアリの羽アリは、体が濃褐色~黒色で、頭部は赤褐色、ハネは黒味の半透明で重ね合わせるとほぼ黒色になる特徴があります(参考文献1)。
アメリカカンザイシロアリの侵入経路
アメリカカンザイシロアリの家屋への主な侵入経路は以下の3つです(参考文献1-3)。
① アメリカカンザイシロアリが住み着いた木材が、住宅やビルを建てるときやリフォームの時に使用され、そこから建物に侵入
② アメリカカンザイシロアリが住み着いた輸入家具を購入し、そこから建物に侵入
③ 近隣の家屋でアメリカカンザイシロアリが増殖し、羽アリが飛来して建物に侵入
過去にはホームセンターで販売された椅子からアメリカカンザイシロアリの被害が発生した事例もあるそうです(参考文献3)。
自宅にアメリカカンザイシロアリの被害がある場合の対処
家の中でアメリカカンザイシロアリの糞や羽アリを見つけた場合は、アメリカカンザイシロアリの被害を受けている可能性が高いです。
糞は、駆除の際に被害範圏を知る有力な手がかりとなるので、掃除せずにそのままにしておきます。
すぐにシロアリ駆除の専門業者に駆除をお願いしてください。
害虫駆除業者に依頼する場合は、複数の業者に見積をとることをおすすめします。
害虫駆除業者によって料金や対処方法が異なるので、見積の内容や応対の様子からベストの害虫駆除業者を選択してください。
もし近所でアメリカカンザイシロアリの被害が出たら
もしかしたら、近所でアメリカカンザイシロアリの被害が出たことをニュースや回覧板などで知ることがあるかもしれません。
近隣の家屋でアメリカカンザイシロアリの被害が出たら、まずは自宅にアメリカカンザイシロアリの糞がないか確認してください。
屋根の部材が外に露出している場合は小屋裏の被害が多くなる傾向があるので(参考文献2)、その辺も確認してください。
アメリカカンザイシロアリの糞がある場合は、すぐにシロアリ駆除の専門業者に駆除をお願いしましょう。
アメリカカンザイシロアリの糞が見つからない場合は一安心ですが、そのうちあなたの家に羽アリが飛んできて被害を受けるかもしれません。
アメリカカンザイシロアリの羽アリは、2月から11月(特に6月~10月の例が多い)の日中に飛翔します(参考文献1,3)。
羽アリの飛来によって、住宅の外構材として使用されている木材から被害が進行する傾向があります(参考文献2)。
被害を防ぐためには、露出している木材を外からシールすることや、薬剤による予防処理することが重要となります(参考文献2)。
すでにシロアリ防除工事がしてあっても、それは地下シロアリ(イエシロアリやヤマトシロアリ)用の床下中心の防除であり、乾材シロアリであるアメリカカンザイシロアリに対しては防除効果がない可能性があります(参考文献2)。
アメリカカンザイシロアリの被害を防ぐためには、一度シロアリ駆除の専門業者に対策を相談しておいたほうがよいでしょう。
まとめ
アメリカカンザイシロアリの被害は、一般的なシロアリ防除工事では防げない可能性があります。
家の中でアメリカカンザイシロアリの糞や羽アリを見つけた場合は、すぐにシロアリ駆除の専門業者に駆除をお願いしてください。
被害が進行すると駆除が難しくなります。
また、近所でアメリカカンザイシロアリの被害が出た場合は、一度シロアリ駆除の専門業者に対策を相談しておくことをおすすめします。
参考文献
- 森本桂. アメリカカンザイシロアリの生態と防除法. 木材保存 2009 35(2):44-51.
- 簗瀬佳之ら. 日本におけるアメリカカンザイシロアリの木造住宅被害の調査研究 -木造住宅の被害程度と被害木材の残存耐力評価-. 住総研研究論文集 2011 38:245-256.
- 南山和也. 東京と横浜での具体的な被害事例について. 日本木材保存協会第26回年次大会 要旨集 2010 80-84.
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