ペットボトルやお茶のポットの中に、「白い糸くずのようなもの」や「ふわふわしたマリモのような塊」が浮いているのを見たことはありませんか?
結論から言うと、その正体は「カビの塊(菌糸体)」です!
「うっかり飲んじゃったけど大丈夫?」「お腹を壊す?」と焦っている方も多いはず。
本記事では、ライフサイエンス系の博士号を持つ筆者が、実際の研究論文データをもとに「飲んでしまった時の健康リスクと対処法」「カビの正体と発生原因」「正しい捨て方・容器の消毒法」を分かりやすく解説します!
目次
1. お茶の中の白い浮遊物・マリモの正体は「カビ(菌糸体)」


お茶の中に浮いている白い糸くずや綿あめのような塊は、カビの線維(菌糸)が枝分かれして絡み合い、大きく成長した「菌糸体(きんしたい)」です。
食品衛生に関する研究(※1)によると、清涼飲料水やお茶から検出されるカビの多くは、以下の種類であることが報告されています。
- Cladosporium(クラドスポリウム属 / クロカビ): 住宅内や室内に広く存在する一般的なカビ。
- Penicillium(ペニシリウム属 / アオカビ): 土壌や空気中に存在。一部はカビ毒を作る。
- Aspergillus(アスペルギルス属 / コウジカビ属など): 食品や穀類につきやすく、一部は強力なカビ毒(マイコトキシン)を産生する。
カビ毒(マイコトキシン)を産生する種類のカビが含まれている可能性もあるため、目視で白い浮遊物やマリモが見える飲み物は絶対に飲まないでください。
2. 【緊急】カビの生えたお茶を飲んでしまった!大丈夫?(症状・確率データ)

「知らずに飲んでしまった…どうしよう!」という場合も、まずは落ち着いて体の様子を観察しましょう。
誤飲による健康被害の確率は約18%
カビ汚染された食品・飲料事故に関する全国調査論文(※2)によると、カビが混入した飲食物を摂取した人のうち、実際に健康被害(症状)を訴えた人は全体の18%でした。
つまり、残り82%の人は飲んでしまっても特に目立った健康被害が出なかったということになります。過度にパニックになる必要はありません。
注意すべき主な症状
もし体調に変化が出た場合、以下のような症状が現れることがあります(※2)。
- 下痢・腹痛・吐き気(悪心)・嘔吐
- 発熱・全身の不快感
- 舌、口、唇のしびれ
飲んでしまった直後の正しい対処法
- 追加で飲むのをやめる(当たり前ですがすぐに廃棄)。
- 水分(水やぬるま湯)を少量飲んで様子を見る(無理に吐き出そうとしない)。
- 24〜48時間は体調の変化(腹痛・下痢など)を観察する。
- 腹痛や嘔吐などの症状が出た場合は、早めに医療機関(内科・小児科)を受診する。
3. なぜカビが生える?どこから混入したのか
「フタを閉めていたのに」「作り置きしたばかりなのに」なぜカビが発生するのでしょうか?主な3つの混入ルートがあります。
① ペットボトル開封後の空気中からの混入
生活空間の空気中には、目に見えないカビの胞子が漂っています。ペットボトルのフタを開けっぱなしにしている間に、空気中から胞子が飛び込んで増殖します。
② 水出しお茶の「茶葉」や「容器」からの発生
茶葉自体からカビの胞子が検出されたという研究報告があります(※3)。 煮沸しない「水出しお茶」を室温放置するなど保存状態が悪いと、茶葉に付着していた胞子が一気に成長してしまいます。また、前回洗った容器の乾燥不足や洗い残しも原因となります。
③ 【ごく稀】未開封のペットボトル製造工程での混入
めったにありませんが、未開封のペットボトル内で浮遊物が見られる場合、製造工場での混入事例も報告されています(※1)。未開封で発見した場合はメーカーの相談窓口へ連絡しましょう。
4. カビ(マリモ)が生えたお茶の「正しい捨て方」と「容器の消毒法」
カビが生えてしまったお茶は、捨てる際にも注意が必要です。
正しい捨て方
- カビが少量の場合: そのままキッチンのシンク(流し)に流し、後から水道水をしっかり流して洗剤でシンクを洗いましょう。
- マリモ状の大きな塊がある場合: 三角コーナーの水切りネットやペーパーフィルターでカビを越し、ビニール袋に密閉して燃えるゴミ(可燃ごみ)へ捨ててください。液体部分だけを流しに捨てます。
- ペットボトル容器: カビが生えたペットボトルは再利用せず、ゆすいで廃棄(自治体の分別に従う)してください。
作り置き容器(ピッチャー・ポット)の消毒手順
作り置き用のピッチャーにカビが生えてしまった場合、プラスチックの奥まで菌糸が入り込んでいる可能性があるため基本的には廃棄を推奨します。
もし高価な容器などで再利用したい場合は、以下の手順で徹底除菌してください。
- スポンジで洗剤を使って綺麗に洗い流す。
- キッチン用塩素系漂白剤(キッチンハイター等)につけ置きするか、60℃以上(できれば熱湯)のお湯に10分以上浸けて殺菌する。
- 水洗い後、完全に乾燥させる(湿気があると再発生します)。
5. お茶のカビ・雑菌繁殖を防ぐための3大鉄則
最後に、日々のお茶を安全に保存するためのポイントです。
- 鉄則①:作り置き・開封後は必ず「冷蔵庫保存」 カビや細菌は常温(15〜30℃)で爆発的に増えます。作ったらすぐに冷蔵庫へ入れましょう。
- 鉄則②:2〜3日以内に飲み切る 冷蔵庫の中でもカビはゆっくり成長します。手作りのお茶や開封後のペットボトルは2〜3日を目安に使い切りましょう。
- 鉄則③:注ぎ口やフタを素手で触らない・直接口をつけない ペットボトルに直接口をつけて飲む(直飲み)と、口の中の雑菌やお茶の成分が混ざり、カビや細菌の絶好の栄養源になります。
まとめ:マリモを見つけたら絶対飲まずに廃棄!

お茶の中に浮く白い糸くずやマリモは、見過ごせない「カビの塊」です。
- 白い塊の正体は成長したカビ(菌糸体)
- 万が一飲んでも8割以上は無症状だが、腹痛や嘔吐があれば即受診
- 水出しお茶や作り置きは「冷蔵保存&2〜3日で飲み切る」が鉄則
- カビの生えたお茶容器は熱湯・消毒液で徹底除菌(基本は買い替え推奨)
科学的な仕組みを知って、安全でおいしいお茶生活を送りましょう!
参考文献・出典
(※1)工藤由紀子ら. 清涼飲料水における微生物を原因とする苦情事例の解析. 食品衛生学雑誌 2009 50(6):315-320.
(※2)酒井綾子ら. 真菌汚染による苦情食品とその喫食による健康被害. 食品衛生学雑誌 2004 45(4):201-206.
(※3)岡崎貴世. 水出しで作る冷茶の保存性. 茶業研究報告 2016 122:21-25.
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