ペンペングサの別名でも知られるナズナ。
公園や道端、畑などの身近な場所でもよく見かけるおなじみの野草です。
白く小さな花の開花時期は3月~6月です。
写真のナズナも3月の終わりに近所の公園で花を咲かせていました。
ナズナは春の七草として食しますが、古くから薬草としても利用されていたそうです。
ナズナ
ナズナ(1)(薺)
別名:ペンペングサ
学名:Capsella bursa–pastoris
分類:アブラナ科ナズナ属
花期:3~6月
分布:日本全土
名前は、愛でる菜という意味の「撫菜」が由来など諸説ある。
色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑(1)
三角形の果実が三味線のバチの形に似ていることから、三味線の音色に例えたペンペングサの別名もある。
草丈10~40 cmで、直径3 mmほどの小さくて白い花がたくさんつく。
春の七草の一つ
ナズナは春の七草(せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ)のひとつで、正月の7日に七草粥として食されます。
今のような七草粥の行事となったのは江戸時代以降のことだそうですが、ナズナは古くから早春に他に先駆けて若葉を出す若菜の一つとして食されていたようです(2)。
薬草としてのナズナ
文献(3)ではナズナの薬効が以下のように記載されています。
全草を1日10 g煎用。
利尿、解熱、肺、腸、子宮の出血、高血圧に効がある。
葉の黒焼きは腹痛、下痢に効く。
七草粥にも用いる。
目の痛みには根や種子を煎じて、服用したり、煎液で目を洗うとよい。
別の文献(4)では以下のように記載されています。
解熱
6-7月に全草を採集し、水洗いして天日乾燥する。
10 gを水500-600 ccで煎じ、1日3回に分けて服用する。
ナズナの生理活性物質の研究
ナズナは古くから薬草として知られていることから、ナズナからの有用な生理活性物質の探索研究が行われています。
ナズナ由来の物質は、抗菌、抗炎症、抗酸化、生殖への影響、抗がん、肝臓保護、鎮静などの薬理学的効果を示すことが報告され、新たな薬の開発につながることが期待されています(5)。
まとめ
ナズナは身近な野草で、正月の7日に七草粥に入れて食すこともあります。
薬草としても古くから利用されているようです。
また、ナズナをくるくると回して音を鳴らして遊ぶ、素朴な音遊びも楽しめます。
参考文献
- 高橋修, 藤井伸二(監修). 色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑. ナツメ社 2014.
- 森田潤司. 季節を祝う食べ物 (2)新年を祝う七草粥の変遷. 同志社女子大学生活科学 2010 44:84-92.
- 越尾淑子, 原田真知子. 東京家政大学構内の役に立つ野草. 東京家政大学研究紀要 1997 37(2):43-49.
- 廣部千恵子. 日本の民間薬2(風邪に使用する民間薬2-食物および薬草). 清泉女子大学紀要 2000 48: 5-112.
- Al-Snafi AE. The chemical constituents and pharmacological effects of Capsella bursa-pastoris-A review. International Journal of Pharmacology and toxicology 2015 5(2):76-81.