黄色い花のカタバミ、紅紫色で中心部が白色の花のムラサキカタバミ、そして、紅紫色で中心部ほど濃い色の花を咲かせるイモカタバミ。
春、公園の草地や道端などで、それぞれの花を目にすることができます。
カタバミとその関連種は植物ですが動きがあるのが特徴的です。
花や葉が昼夜、天気などに応じて開いたり閉じたりします。
足元のカタバミたちを観察してみてください。
カタバミ

カタバミ(傍食)
学名:Oxalis corniculata
別名:カタバミ
分類:カタバミ科カタバミ属
花期:5~7月
分布:日本全土
毎日夕方になると葉を閉じ、朝になるとまた開く。
色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑(1)
葉はハート形の小葉3枚からなり、5弁の黄色い花が咲く。
閉じている状態の葉や、ハート形の小葉の端(傍ら)の一部が虫食いのように欠けて見えるので、「片側(傍ら)を食まれたよう」なのが名前の由来といわれる。
細長い果実が結実し、熟すと乾燥して5つに裂け、種子がはじけるように飛び出す。

カタバミは夜に葉を閉ざす就眠運動を行うことが知られています(2)。
また、この就眠運動とは別に、晴天の日中に照度が高くなると(正午ごろ)葉を閉ざし、照度が低くなった15時頃になると再度葉を開き、17時頃に就眠運動で葉を閉じるという葉の開閉運動が観察されます(2)。

そして、カタバミでは葉の開閉運動だけでなく、花の開閉運動も観察することができます(3)。
カタバミの花は雨天には開花せず、曇りの日でも気温等の条件によって開花しません。
一方、直射日光が当たると開花します。
ムラサキカタバミとイモカタバミでも花や葉の開閉運動が観察されます。
ムラサキカタバミ

ムラサキカタバミ(紫傍食)
学名:Oxalis debilis ssp. corymbosa
別名:キキョウカタバミ
分類:カタバミ科カタバミ属
花期:5~7月
分布:南アメリカ原産、日本全土に帰化
江戸時代末期*に観賞用として渡来したといわれ、広く帰化している。
色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑(1)
花茎は高さ10~25 cm。
花は紅紫色で、直径1.5 cm程度。
花の中心部は白く、雄しべの先端の葯も白い。
花を咲かせても花粉がないので結実せず、球根で増える。
本種の球根は鱗茎と呼ばれ、地下で葉が肥大し変化したもの。
小さな鱗茎をたくさんつくって増殖する。
夜間など気温が低いときは花を閉じる。
*江戸時代(18世紀)にはオギザリス・ローザと呼ばれたそうです(4)。


イモカタバミ

イモカタバミ(芋傍食)
学名:Oxalis articulata
別名:フシネハナカタバミ
分類:カタバミ科カタバミ属
花期:4~9月
分布:南アメリカ原産、本州(秋田・宮城県以南)、四国、九州に帰化
根の上部に、直径1 cm程度のイモ状の塊茎を多数つけるので、イモカタバミと名づけられた。
色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑(1)
観賞用に植えられていたものが野生化し、道端や公園の草地などで増えている。
高さ15~25 cmの花茎を伸ばす。
直径1.5 cmほどの花は紅紫色で、中心部ほど濃く、濃紅紫色になる。
花には濃紅色の線が目立つ。
雄しべは10個あり、5個が長く、5個は短い。
雄しべ先端の葯の色は黄色。
よく似たムラサキカタバミは葯が白色なので本種と見分けることができる。


参考文献
- 高橋修, 藤井伸二(監修). 色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑. ナツメ社 2014.
- 鈴木昌友ら. 葉の開閉運動の教材化. 茨城大学教育実践研究 1994 13:17-25.
- 鈴木昌友ら. 花の開閉運動の教材化. 茨城大学教育実践研究 1993 12:113-124.
- 大城幸尚, 玉城光一. ムラサキカタバミの生態と防除. 沖縄県農業試験場研究報告 1984 9:67-72.