ひょろりと長く伸びた茎の先にタンポポに似た黄色い花をつけるブタナ。
繁殖力の強い外来種で、公園や荒地、道路わきなどで見かけます。
花が咲いている時期は長く、早ければ4月頃から咲き、11月頃まで花を楽しめます。
ブタナ

ブタナ(豚菜)
学名:Hypochaeris radicata
別名:タンポポモドキ
分類:キク科ブタナ属
花期:6~11月
分布:ヨーロッパ原産、日本全土に帰化
ヨーロッパ原産の帰化植物。
色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑(1)
名前の由来は「ブタに食べさせる菜」や、仏語俗名から、などの説がある。
花茎が低い株は遠目に見るとタンポポのようだが、よく見ると花茎は枝分かれし、全体に毛が生えているのですぐに本種とわかる。
花茎の高さは20~70 cmで、1つの花茎に1~3個の花序がつく。
頭花の直径は3~4 cm。
葉はすべて根元から生える。
ブタナのライフサイクル

ブタナは芝地、路傍、荒地等で生育します(2)。
開花は日長反応性ではなく温度に支配されていると考えられています。
ブタナの種子は休眠性を持たず、明るい条件下では10℃から30℃の広い発芽可能温度域をもちます。
暗い条件下でも明るい条件下には劣りますが発芽します。
発芽後は、一定のロゼット径に達した後、開花結実を長期間にわたって行います。
一部の個体では、その後、栄養繁殖を行います。
また、ブタナは刈り取りに強い抵抗性を持っており、刈り取り後2週間で開花する個体もあるほどです(3)。
日本での名前

1933年(昭和8年)札幌市郊外で発見され、舘脇操氏はタンポポモドキと命名しました(4)。
翌年、京都大学の北村四郎氏は、六甲山から採取されたものについて、ブタナと名づけました。
現在では、名前としてブタナが使用されることが多いようです。
インドでは民間療法に使用される

インドの研究グループの論文では、ブタナは食用多年草で、ブタナの全草は抗炎症、抗がん、抗酸化、抗菌、抗真菌および抗利尿特性を持ち、医学的に重要との記述があります(5)。
また、インドのタミル・ナードゥ州の民間療法において、黄疸、リウマチ、消化不良、便秘、低血糖、腎臓関連の問題の治療に使用されると記述されています(5)。
この研究グループの論文では、ブタナは葉と根に抗酸化活性のある物質を含んでいることが報告されています(5)。
参考文献
- 高橋修, 藤井伸二(監修). 色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑. ナツメ社 2014.
- 土井倫子ら. ブタナの生活史特性. 雑草研究 2004 49(Sup.):30-31.
- 前中久行. ランドスケープの立場からみた市街地環境と“雑草”. 雑草研究 2001 46(1):48-55.
- 前山和彰. 身近にある帰化植物 8題. 浅井学園大学生涯学習研究所研究紀要(生涯学習研究と実践)2006 9:179-188.
- Senguttuvan J et al. Phytochemical analysis and evaluation of leaf and root parts of the medicinal herb, Hypochaeris radicata L. for in vitro antioxidant activities. Asian Pac J Trop Biomed 2014 4(Suppl 1):S359-367.