春の道端などでよく見る中心が黄色で白い花びらの小さめの花、ハルジオン。
この花は園芸植物として日本に持ち込まれた外来種ですが、今では日本の各地に分布しています。
ハルジオン
ハルジオン(春紫苑)
学名:Erigeron philadelphicus
別名:ハルジョン、ハルシオン、ベニバナヒメジョン
分類:キク科ムカシヨモギ属
花期:3~7月
分布:北アメリカ原産、北海道、本州、四国、九州に帰化
淡紅~白色の花が咲く。
色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑(1)
大正時代に園芸植物として渡来し、「春に咲く紫苑」の意味で植物学者の牧野富太郎博士が命名した。
地面に放射状に広がるロゼット葉で冬を越し、春に茎が伸びる。
草丈は30~100 cm。
頭花は直径2~2.5 cmで、糸状の舌状花がたくさんつく。
つぼみのときは首を垂れている。
茎は全体に毛があり中空で、葉は基部で茎を抱く。
つぼみは下を向いていて一見元気がなさそうですが、開花すると花は上を向きます。
つぼみの状態との変化が面白い花ですね。
上を向いた花は小さいながらも目立つので、蝶などの昆虫に見つけてもらいやすいのかもしれません。
春にはベニシジミなどの小型の長が花の蜜を吸っている姿も見ることができます。
ハルジオンとヒメジョオンの区別
ハルジオンと外見がよく似ている植物としてヒメジョオンがあります。
二つの植物の区別は、茎を調べることで可能。
ハルジオンの茎の中は空っぽですが、ヒメジョオンの茎の中には白い髄が詰まっています。
ハルジオンのたくましさ
除草剤(パラコート)のよく使用される場所で、パラコートへの抵抗性を獲得したハルジオンが出現しやすいことが報告されています(2)。
2020年には東京都立多摩科学技術高等学校のグループにより、ハルジオンにはカビや細菌の増殖を阻害する抗菌作用があることが報告されています(3)。
除草剤への抵抗性獲得や抗菌作用による微生物感染に対する防御などにより、たくましく生き抜いて生息地を広げていったのかもしれません。
参考文献
- 高橋修, 藤井伸二(監修). 色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑. ナツメ社 2014.
- 佐藤光政ら. ハルジオンのパラコート抵抗性バイオタイプの光合成特性と東北および北海道南部における出現. 雑草研究 1992 37(2):167-168.
- 齋藤美弥ら. ハルジオンの抗菌作用病原体に対する防御と活用技術への可能性. 化学と生物 2020 58(12): 699-703.