オオイヌノフグリとタチイヌノフグリはともに外来種で、現在は日本全土に帰化しています。
両方とも春に青い花を咲かせますが、オオイヌノフグリに比べてタチイヌノフグリの花は小さく、見分けるのは容易です。
オオイヌノフグリの花は歩いていても目に留まりますが、タチイヌノフグリの花は地面近くをよく観察しないと気付かずに通り過ぎてしまうかもしれません。
両方とも和名は同属の植物であるイヌノフグリ(日本在来)に関連して名づけられています。
そのイヌノフグリは、果実が犬の陰嚢(陰嚢のことをフグリという)に似ていることから名づけられたそうです(1)。
オオイヌノフグリ
オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)
学名:Veronica persica
別名:オオイヌフグリ
分類:オオバコ科クワガタソウ属
花期:3~5月
分布:西アジア原産*、日本全土に帰化
*1994年の文献ではオオイヌノフグリの原産地はヨーロッパで、帰化は明治初年と記載されています(2)。
同属のイヌノフグリより全体的に大形なので、この名前がつけられた。
色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑(1)
草丈は低く、茎は根元でよく枝分かれして地面をはうように伸びる。
花の直径は8~10 mmで、長い花柄があり、昆虫が蜜を求めてとまると花が大きく傾き、バランスを崩した昆虫にうまく花粉がつく。
一見4枚の花弁に見えるが、根本ではくっついていて濃い青色のすじ模様がある。
タチイヌノフグリ
タチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)
学名:Veronica arvensis
分類:オオバコ科クワガタソウ属
花期:4~6月
分布:ヨーロッパ原産、日本全土に帰化
ヨーロッパ原産の帰化植物で、畑や道端などで普通に見られる。
色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑(1)
茎の根元部分は地面をはって伸びるが、茎の上部は直立するので、立ち上がって伸びるイヌノフグリという意味の名前になった。
茎の上のほうに、直径3~4 mmほどの小さな花がつく。
花には花柄がなく、葉に埋もれるようにつくので目立たないが、よく見ると美しい青色で、淡紅紫色の花が見られることもある。
草丈10~30 cmほどと小さい。
葉も長さ0.6~2 cmと小さく、ふちには大き目の鋸歯がある。
参考文献
- 高橋修, 藤井伸二(監修). 色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑. ナツメ社 2014.
- 鶴内孝之. フラサバソウとオオイヌノフグリの生殖生態. 雑草研究 1994 39(2):85-90.