春になると家の周りにつるを伸ばすブドウに少し似た植物を見かけませんか。
そのままにしておくと、どんどん伸びてつるがほかの植物や建物の一部にからみついて植物を枯らしたり、見栄えが悪くなったりしてしまうことも。
我が家の敷地内にも近年出現するようになりました。
調べてみると、これはヤブカラシという植物のようです。
別名でビンボウカズラとも呼ばれるようで、名前からしてあまりありがたくはないですね。
このヤブガラシの撃退法をネットで調べると、くるくるとヤブカラシを丸く束ねて地面に置いておくのがよいそうで、こうしておくと枯れるのだとか。
一方、ヤブカラシは自分とそれ以外を認識することができるという研究報告があります。
もしかすると、くるくると丸く束ねられてしまうとヤブカラシは自分しか認識できなくなり、他者がいないほど過密に増殖しすぎたと勘違いして、自ら生長を止めて枯れてしまうのかもしれませんね。
ヤブカラシ
ヤブカラシ(藪枯らし)
学名:Cayratia japonica
別名:ビンボウカズラ、ヤブガラシ
分類:ブドウ科ヤブカラシ属
花期:6~8月
分布:北海道(西南部)、本州、四国、九州、沖縄、小笠原
やぶのような場所でも繁茂し、ほかの植物に覆いかぶさって枯らすほどなので「藪枯らし」と名前が付いた。
色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑(1)
また、手入れの悪い物置小屋や草むらなどに覆いかぶさり貧乏くさい場所に変えてしまうので「ビンボウカズラ」という別名までつけられた。
つる性で、巻きひげを出してほかの植物にからみつき、長さ2~4 mにも伸びる。
地下茎を長く伸ばして旺盛に繁殖する。
花は直径5 mmほどで、果実は黒く熟す。
葉は5枚の小葉からなる複葉で、葉には柄がある。
ヤブカラシは自分とそれ以外を見分けて巻き付く
ヤブカラシに関する研究が行われており、ヤブカラシは自分(自株)とそれ以外(同種の他株も含む)を識別できることが報告されています(2)。
ヤブカラシの巻きひげは自分の葉や茎にはほとんど巻き付かないそうです。
ヤブガラシは自分以外のものに巻きついて繁茂する戦略を有しているようです。
ヤブカラシの撃退法と関係あり?
ヤブカラシの撃退法として「くるくるとヤブカラシを丸く束ねて、地面に置いておくと枯れる」ことが中央園芸のブログさんのサイト(3)で紹介されています。
もしかするとこれはヤブガラシの自分とそれ以外を識別する能力が関係しているのかもしれません。
くるくると丸く束ねられると強制的に自分の葉や茎に接触し、ヤブカラシは自分ばかりを認識することになります。
これにより、ヤブカラシは他者がいないほど過密に増殖しすぎたと勘違いして、自ら生長を止めて枯れてしまうのかもしれません。
参考文献とサイト
- 高橋修, 藤井伸二(監修). 色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑. ナツメ社 2014.
- 山尾僚, 深野祐也. 巻きひげにおける自他・自種識別能力. 日本生態学会誌 2019 69:93-98.
- ヤブガラシを駆除するには. 中央園芸のブログ. https://ameblo.jp/chuou1/entry-12076805139.html