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ツユクサの青い花は3種類の形の雄しべが特徴的

ツユクサの青い花は3種類の形の雄しべが特徴的

青い色がさわやかなツユクサの花は午前中の時間帯が見頃です。

夜型の人はなかなか花を見ることができないかもしれません。

花をよく見ると雄しべの形状が3種類もあります。

そのうちのX字型葯の雄しべの花粉は生殖能力がなく、昆虫のえさ用になっています。

形の違う雄しべには役割分担があるようです。

また、ツユクサの青い花弁を絞ると濃紺の液が得られます。

濃ければ色は極めて安定ですが、水で薄めると簡単に退色してしまいます。

この性質を利用して色遊びしてみても楽しいかもしれませんね。

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ツユクサ

ツユクサの花の写真

ツユクサ(露草)

学名:Commelina communis
別名:ボウシバナ
分類:ツユクサ科ツユクサ属
花期:6~9月
分布:日本全土

深い青色の花は船のような形の苞葉の間から出る。
3枚ある花弁のうち、青色の2枚が目立つ。
下にある1枚は白色で小さく目立たない。
花は半日ほどでしぼむこともある。
花弁の色素は移りやすく、指でもむと青色がつき、色水遊びなどに使われる。
茎の下の部分は地面をはって伸び、茎の先は立ち上がって草丈30~50 cmになる。
枝分かれしながら節から根を出して増える。
道端や田のあぜなどに生える。

色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑(参考文献1)

ツユクサの雄しべは3種類

ツユクサの3種類の雄しべを示す画像

ツユクサには3種類の雄しべがあります(参考文献2)

外側の楕円形をした葯2本(O字型)と、中間の人字型をした葯1本(λ字型)、そして内側のX字型をした葯3本(X字型)です。

O字型葯とλ字型葯の花粉は生殖能力がありますが、X字型葯の花粉は近似種では生殖能力がなく、昆虫のえさ用になっています。

また、ツユクサの花には雄しべと雌しべの両方を持つ両性花と、雌しべを持たない単性花(雄花)の種類があります。

単性花は雌しべがないこと以外は、両性花と同様です。

ツユクサの花の性の決定

ツユクサの写真

ツユクサでは、花序内の最初の花が種子を生産したときには、その後に咲く花の雌しべの発達が止まり雄花になります(参考文献3)

一方、最初の花で種子生産が行われなければ、最後の花の雌しべは正常に発達し両性花になります。

花間の資源競争によって個々の花が得ることが出来る資源量が決まり、それに応じて花の性が決まります。

ツユクサの生命力

道路わきに生えたツユクサの写真
道路わきに生えたツユクサ

生命力と増殖力が強い難駆除雑草の1つです(参考文献4)

除草して放置しておくと発根・再生します。

種子も長寿で、地下30 cmに25年間埋めたものでも14%が発芽したそうです。

ツユクサの花の青い色素コンメリニン

ツユクサの青い花弁を絞ると濃紺の搾汁が得られ、濃ければ色は極めて安定です(参考文献5)

一方で、水で薄めると簡単に退色してしまいます。

この性質を利用して、濃紺の搾汁(青花)は、手描き友禅の下絵描きに用いられます(実際にはツユクサの栽培変種のオオボウシバナの花弁の搾汁が用いられます)。

青花で描いた下絵は捺染の後、水にさらすと跡形もなく消えてしまいます。

このツユクサの青花の色素はコンメリニンという金属錯体アントシアニンであることが解明されています。

水で薄めるとコンメリニンの金属錯体構造が壊れ、発色しなくなります。

食用としてのツユクサ

ツユクサの花のつぼみの写真
ツユクサの花のつぼみ

5~7月の枝先と葉をゆでて、おひたしにして食べることができます(参考文献6)

また、妙め物や、大根おろしとあえて、もみのりや七味をかけて食べるといいようです。

なめこあえもよいようです。

民間薬としてのツユクサ

横から見たツユクサの花の写真

ツユクサは民間薬として用いられていたこともあるようです(参考文献7)

現在では利用することはないと思いますが、参考までに記述します。

解熱には、乾燥した全草(1回量4-6 g)を200 mlの水で煎じて2回に分けて服用します。

喘息には、8-9月頃開花の全草を根元から刈り取り、水洗い後、乾燥を容易にするため細切りし、3日間ほど日干ししたのちに陰干しして保存します。1日量15 gを水600 mlで半量に煎じ、3回に分けて服用します。

のどの痛みには、茎、葉を採り乾燥させて1回2-3 g煎じて飲みます。

解熱、扁桃腺炎には、ツユクサをついて搾り汁を飲み込みます。

参考文献

  1. 高橋修, 藤井伸二(監修). 色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑. ナツメ社 2014.
  2. 藤木利之ら. ツユクサ(ツユクサ科)の花粉形態. 日本花粉学会会誌 1997 43(1):31-35.
  3. 石井博. 花の進化を花序の機能から読み解く. 日本生態学会誌 2008 58:151-167.
  4. 森昭彦. 帰化&外来植物 見分け方マニュアル950種. 秀和システム 2020.
  5. 吉田久美, 近藤忠雄. 花の色はなぜ多彩で安定か アントシアニンの花色発現機構. 化学と生物 1995 33(2):91-99.
  6. 越尾淑子. 野草の食べ方. 東京家政大学博物館紀要 2000 5:95-110.
  7. 廣部千恵子. 日本の民間薬2(風邪に使用する民間薬2-食物および薬草). 清泉女子大学紀要 2000 48:75-112.