小学1年生の夏休みは、学校で育てていたアサガオ(朝顔)を家に持ち帰ることが多いようです。
我が家にも小学1年生の娘がいて、小学校から家に持ち帰ったアサガオを夏休みの間育てて観察しました。
毎日咲いた花の数と色を記録するのが宿題になっていたので、アサガオの観察が日課になっていました。
そんなある日、娘が変わった形の花が咲いていると呼びに来たので見に行きました。
私は初めて見たのですが、らせん状に渦巻いたアサガオの花が咲いていました。
娘と「スーパーレアだね!」とうれしさを共有しました。
他の日には星形のアサガオの花も咲きました。
たまに変わった花が咲くと、毎日のアサガオの観察もより楽しくなります。
あなたのまわりのアサガオの花の中にも、らせん状に渦巻いたアサガオの花や星形のアサガオの花はありませんか?
よかったら探してみてくださいね!
らせん状に渦巻いたアサガオの花
我が家で咲いたらせん状に渦巻いたアサガオの花は一輪のみでした。
花の色は薄い青色でふちが白。
花は中心から時計回りに立体的に回転して、らせん状に渦巻いていました。
調べてみるとアサガオは突然変異が起きやすい植物で、様々な形態のアサガオ(変化アサガオ)があるようです(参考文献1,2)。
らせん状に渦巻いたアサガオの花も突然変異が関係しているのかもしれませんね。
星形のアサガオの花
他にもちょっと変わった形のアサガオの花として、赤紫色の星形の花も咲きました。
通常のアサガオの花と形が違った花が咲くとアサガオの観察も楽しくなります。
突然変異で変わるアサガオの形態
夏におなじみのアサガオ(学名:Ipomoea nil)ですが、日本の在来種ではなく、中南米地域を起源とします(参考文献2)。
日本には今から1200年ほど前の奈良時代に、中国から薬草(下剤)として持ち込まれたと考えられています(参考文献2)。
その後、観賞用として広まり、江戸時代後期以降に、花色や模様はもちろんのこと、アサガオにはとても見えないような形態の突然変異体(変化アサガオと呼ばれます)が多数出現し、現在まで保存されています(参考文献2)。
アサガオの形態変化の多くはトランスポゾン(ゲノム上の位置を自由に移動することができる転移性の塩基配列)に誘発された機能喪失型の劣性突然変異が原因です(参考文献1,2)。
トランスポゾンが遺伝子内に入り込むと、もともとの遺伝子の多くは機能を失います。
突然変異で一部の遺伝子が機能しなくなると、アサガオの見た目にも影響することがあり、変わった形のアサガオの発生につながります。
江戸時代から度々ブームを起こした変化アサガオ
文化8年(1811年)ごろからアサガオの変異が認められるようになったことが文献に記録されており、大坂や江戸で変化アサガオの第1次ブームが起こったそうです(参考文献2)。
変化アサガオを集めた木版刷りの図譜も刊行されています(参考文献1,2)。
幕末に近い嘉永安政期(1850年-)には、栽培家が現れて多くの図譜が出版され、第2次ブームが起きました(参考文献2)。
変異を組み合わせた複雑で珍奇な変化アサガオが生み出され、鑑賞されていたようです。
第3次ブームは明治の後中期ごろで、各地でアサガオの同好会が結成されたそうです(参考文献2)。
残念ながら第2次世界大戦の影響で江戸時代から続いた変化アサガオの系統の多くは失われてしまったそうです。
それでもアサガオ愛好家が保存していた種子が残っており、それを基に変化アサガオの栽培が戦後行われ、様々な系統が再び作出されたそうです。
現在でも多くの変化アサガオが栽培され、鑑賞されています。
ちょっと変わった形のアサガオは江戸時代から人々の心をとらえて、愛され続けてきたんですね。
小学校のアサガオは形態が変化しやすいのかも?
娘は、前年度の1年生が栽培したアサガオからとれた種を植えたようです。
市販の種ではなく、上級生から代々受け継がれたアサガオの種を植えているので、突然変異の蓄積も起きていると推測されます。
そのため、市販のアサガオの種に比べると変わった形のアサガオに出会える可能性が高いかもしれません。
小学校で代々受け継がれているアサガオの栽培が変化アサガオの作出につながるかもしれませんね。
娘のアサガオの種を受け継いだ来年の1年生は、らせん状に渦巻いたアサガオの花や星形のアサガオの花を観察するのかもしれません。
まとめ
我が家で咲いたちょっと変わったアサガオの花を紹介しました。
らせん状に渦巻いたアサガオの花や星形のアサガオの花を見つけるとうれしいものです。
もしアサガオを栽培する機会があったら、変わった花が咲いていないか観察してみてくださいね。
参考文献
- 星野敦ら. 新たなステージに入ったアサガオ研究 高精度なゲノム解読と幻の黄色いアサガオの再現. 化学と生物 2018 56(1):39-46.
- 仁田坂英二. バイオリソースとしてのアサガオ. 植物化学調節学会 2005 40(2):146-155.
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