腸活をしていると自分の腸内フローラ(腸内細菌叢)がどんな状態なのか気になりますよね。
腸内フローラ検査キット「マイキンソー」を利用すると自分の腸内フローラを知ることができますが、それなりにお金もかかるし、実際にどんなことがわかるのか事前に知りたいところだと思います。
そこで、ライフサイエンス系博士でアラフォー男性の私がマイキンソーを利用した結果を詳しく紹介するので参考にしてください。
個人的にはマイキンソーで得られる結果の中では、ビフィズス菌の割合が大事だと思います。
これを知ることができるだけでも検査する意味があると思います。
また、マイキンソーの検査結果で得られる腸内細菌割合データは有用で、これを基に自分で調べて考察することもできます。
自分の腸内フローラを知ることで腸活のモチベーションは向上しますよ。
目次
自宅でできる腸内フローラ検査「マイキンソー」
マイキンソー(Mykinso Gut Online V2)は腸内フローラ(腸内細菌叢)を可視化する検査キットです(病気の診断を目的としたものではありません)。
郵送検査のため、自宅で簡単に検査を受けることができます。
販売元は(株)サイキンソーです。
(株)サイキンソーはマイキンソー以外にも医療機関用の腸内フローラ検査キット(Mykinso Gut V3)を販売しており、多くの医療機関で腸内フローラ検査として採用されています。
マイキンソーは、医療機関用の簡易版となっています。
医療機関用の検査キットと比べると検査項目が限定されるものの、個人がネットで購入して手軽に検査できるという利点があります。
マイキンソーの購入
マイキンソーは、マイキンソーのサイト(https://mykinso.com/personal)またはAmazonで購入可能です。
今回はAmazonで購入しました。
価格は11,000円(税込)でした。
現在は、定価19,800円(税込)から8800円オフで購入できます。
次世代シーケンサ解析などを含む検査の内容からするとお得な値段だと思います。
マイキンソーの中身
Amazonで購入すると数日中にポストなどに届きます。
マイキンソーの同梱品は以下です。
・ガイドブック
・研究に関する説明書
・返送用封筒
・採便棒
・保存容器
・採便用シート
・チャック付ポリ袋
マイキンソーでの検査の手順
1. ガイドブックを読む
まずはガイドブックを読みます。
内容は整理されていて、簡単にわかるように書かれています。
マイキンソーでの検査の流れ、採便方法、ユーザー登録方法などが記載されています。
2. 研究に関する説明書を読む
(株)サイキンソーでは腸内フローラに関する研究を実施しています。
マイキンソーでは、検査結果の情報を提供することで、この研究に参加することができます。
「研究に関する説明書」を読んでこの研究への参加・不参加を判断しましょう。
ちなみに私は参加することにしました。
腸内フローラに関してはまだまだ未解明なことが多く、腸内フローラに関する多くのデータとそれに基づく研究が必要なのが現状です。
自分の検査結果が研究の進展に役立ち社会貢献につながる可能性があります。
また、研究が進むにつれてマイキンソーの検査でわかることも増えることが期待されます。
3. 採便する
ガイドブックの説明には手順として、採便をする前にユーザー登録や検査キットID登録、質問票に回答をすることが載っていますが、質問票への回答には採便に関する情報も必要なので先に採便するほうがよいように感じました。
また、採便にはタイミングがありますし・・・。
採便は基本的にはガイドブックの採便方法に従って行います。
しかし、今回私はキット付属の採便用シートではなく、「楽流カップWIDE」(製造元:(株)高橋型精)という商品を別で購入して使用しました。こちらの商品を使用して採便するほうが楽でおすすめです。
採便時の便の色や様子は質問票で答えることになるので、よく観察しておくといいと思います。
4. ユーザー登録と検査キットID登録
初回利用の場合は、マイキンソーのサイトへ行ってユーザー登録をします。
ユーザー登録にはメールアドレスの入力が必要です。
検査キットID登録も行います(IDはガイドブックに記載)。
5. 質問票に回答
続けてマイキンソーのサイト上で、生活習慣、体質・病歴、検査時の状態についての質問に回答します。10分~15分程度で回答できると思います。
身長、体重、体脂肪(省略可)の入力項目もあるので、事前に調べておくとスムーズです。
6. 採便サンプルを投函
採便サンプルを付属の返送用封筒にいれて郵送します(切手不要)。
採便から1週間以内、できるだけ早く郵送しましょう。
ポスト投函でも基本的には大丈夫だと思いますが、夏場の暑い時期は避けたほうが良いようです(できれば、直接郵便局に出すほうが良いです)。
私はその日に郵便局に直接持ち込み郵送しました。
7. 結果を待つ
あとは結果を楽しみに待つことになります。
6週間程度で検査結果を見ることができるようです。
マイキンソーの結果がわかるまでの実際の経過
2020年12月の初めに私の検査結果が返ってきました。
それまでの経過としては、採便サンプルの郵送から4日後にマイキンソーからサンプル受領のメール連絡、そのメールがあった日から13日後に解析完了のメールが届きました。
つまり採便サンプルの郵送から17日後には結果を知ることができました。
マイキンソーのガイドブックには採便サンプル到着後6週間程度と書いてあったのですが、実際には2週間程度でした。
でも時期によっては時間がかかる可能性があるので、6週間程度と考えて待つほうがよさそうです。
検査結果はマイキンソーのWEBサイトで見ることができます。
マイキンソーの検査結果
私の結果を例にマイキンソーの検査結果について紹介します。
1. 腸内細菌のタイプ(エンテロタイプ)
マイキンソーでは腸内細菌のタイプが判定されます。
腸内細菌のタイプに関して、マイキンソーのサイト(参考サイト1)では以下の説明がありました。
「全人類の腸内細菌のタイプは、血液型のように菌の種類により3タイプに分類されると言われています。このエンテロタイプの、食事や疾病等との関連性、人種や地域による違い等は現在盛んに研究が行われています」
マイキンソー(参考サイト1)
マイキンソーでは、B型、P型、R型の3タイプとそれらに分けられない混合型のタイプがあり、それらのうちのどれかとして判定されます。
各腸内細菌のタイプとマイキンソーのサイト(参考サイト1)に書かれたその説明は以下となります。
B型:バクテロイデス属の細菌が多く含まれます。
マイキンソー(参考サイト1)
P型:プレボテラ属の細菌が多く含まれています。
R型:ルミノコッカス属の細菌が多く含まれています。
混合型:R型、B型、P型のうちの2種類の混合型です。1種類の属の菌が優勢でない場合は、この型に分類されます。次回の検査で、どちらかの型に近づく可能性があります。
私の腸内細菌のタイプはB型でした。
腸内細菌タイプの分布(たぶんこれまでマイキンソーを受けた人のデータを基にした分布と思われます)ではB型が61.5%と最も多いので、多数派のタイプのようです。
B型の特徴は「動物性タンパク質や脂質を摂取する食習慣との関連が報告されています。脂肪を燃焼する作用が強く、肥満を予防する働きが強いタイプと考えられます。」とのことでした。
一方、腸内細菌タイプの分布ではR型は0%となっていました。
これまでにマイキンソーの検査を受けた人にはR型はいなかったということかもしれません。
もし、R型が出た場合、かなりレアな腸内フローラを有しているということかもしれません。
2. 腸内細菌割合(門:Phylumレベル)
細菌の分類の中で大まかなくくりである門レベルでの腸内細菌割合がわかります。
平均の割合も示してありそれと比較ができます。
私の場合は、バクテロイデーテス門、ファーミキューテス門、アクチノバクテリア門、プロテオバクテリア門で腸内細菌が構成され、アクチノバクテリア門の割合が平均より高いようでした。
また、「より詳しい組成を見る」ボタンをクリックすると、細菌の分類階層(門、綱、目、科、属)ごとの菌組成をList表示またはBubble表示で見ることができます。
腸内細菌の属名とその存在割合まで知ることができます。
この情報を利用して個人的に調べてみることもできそうです。
データを基に自分で調べてみました
腸内細菌割合の「より詳しい組成を見る」で調べた結果、私の腸内フローラからはPrevotella属細菌が検出されませんでした(存在割合が0%でした)。
大麦によるセカンドミール効果(食事で大麦を摂取すると、その次の食事において血糖値の上昇が抑えられる効果)は腸内フローラ中のPrevotella属細菌が多い人のみで得られることが研究論文で報告されています(参考文献2,3)。
そのため、私の場合は大麦のセカンドミール効果を期待できないかもしれません。
ちょっと残念です。
3. 多様性と太りやすさ
・腸内細菌の多様性
多様性が高いほうが健康には好ましいと考えられています。
マイキンソーのサイト(参考サイト1)の説明では「健常な成人では4-7くらいと言われています。」とありました。
・太りやすさ(FB比)
マイキンソーのサイト(参考サイト1)の説明では以下となっています。
「ヒトの腸内細菌の主要な門(Phylum)であるファーミキューテス(Firmicutes)門とバクテロイデーテス(Bacteroidetes)門の比率です。肥満度が高い人ほどファーミキューテス門の比率が大きいとする研究成果が国内/国外を問わず、報告されるようになってきました。」
マイキンソー(参考サイト1)
両方とも基準値内に収まっていて安心しました。
4. 主要細菌の割合
ビフィズス菌と乳酸産生菌、酪酸産生菌、エクオール産生菌の割合がわかります。
いずれも健康に貢献する腸内細菌です。
それぞれ結果に応じたアドバイスがあります。
・ビフィズス菌
ビフィズス菌とは
マイキンソー(参考サイト1)
腸内の環境を整えるほか、ビタミンの生成能や免疫力の向上、動脈硬化の予防やコレステロール値の低下に貢献することが知られています。また、花粉症といったアレルギー症状の改善や発がん予防にも効果があると言われています。
私のビフィズス菌の割合は基準値より高い9.86 %でした。
個人的にはビフィズス菌の割合は大事なデータだと思います。
ビフィズス菌は健康と関連性が高く、60歳前後から存在割合が低下していきます。
ビフィズス菌の割合は基準値より高いぐらいが好ましいかもしれません。
もしビフィズス菌の割合が低い場合は、ビフィズス菌を増やす効果が期待できるオリゴ糖や食物繊維などのプレバイオティクスを積極的に摂取して腸活したほうがよいと思います。
・乳酸産生菌
乳酸産生菌とは
マイキンソー(参考サイト1)
腸内で乳酸などの有機酸を出し、腸管の運動や食物の消化・吸収が促進され、有害菌の増殖を抑制することが分かっています。更に、ヒトの免疫機能を調節する作用などが一部の菌で明らかとなり、健康に対する乳酸菌の機能についてはますます期待が集まっています。
私の乳酸産生菌の割合は0 %でしたが、基準値の範囲内とのことでした。
でも乳酸菌がいないのは大丈夫なのか不安になります。
今後は乳酸菌をヨーグルトなどで積極的に摂取して増やす努力をしたいと思います。
・酪酸産生菌
酪酸産生菌とは
マイキンソー(参考サイト1)
腸管内の細胞のエネルギー源となることが知られ、特定の疾患のリスクを低減する可能性などの新たな発見が多数報告されています。近年、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイとコプロコッカスが、長寿に関わる菌として新たに注目を集めています。
私の酪酸産生菌の割合は15.44%でした。
基準値の範囲内で平均値よりも少し高い値でした。
データを基に自分で調べてみました
腸内細菌割合の「より詳しい組成を見る」で調べた結果、私の腸内フローラにおいて長寿に関わる菌であるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)が属するFaecalibacterium属の占める割合は10.2 %(平均は6.4 %)、コプロコッカス(Coprococcus属)の占める割合は4.6 %(平均は2.4 %)でした。
平均よりも割合の値が高いのでもしかしたら長生きでるかもしれません。
・エクオール産生菌
エクオール産生菌とは
マイキンソー(参考サイト1)
シワやメタボリックシンドロームの改善、更年期障害の軽減、骨粗鬆症やガンの予防、要介護・死亡リスクの低減といった効果が報告されています。ちなみに、エクオール産生菌の保菌率は日本では50-60%と言われていますが、若年層では保菌率は20-30%程度まで低下しています。
私のエクオール産生菌の割合は0.47 %でした。
エクオール産生菌は保有する人としない人が存在するのですが、私はエクオール産生菌を保有していることになります。
データを基に自分で調べてみました
エクオールには以下のような効果が期待されています(参考文献4)。
・更年期症状の改善
・骨粗しょう症の予防
・メタボリックシンドロームの予防
・高尿酸血症のリスク軽減
・乳がんのリスク軽減
・肌の老化(肌水分、コラーゲン、しわ)の予防
・男性の前立腺がん、前立腺肥大や脱毛に対する効果
私は男性なので、エクオール産生菌が作るエクオールによって前立腺がん、前立腺肥大や脱毛に対する効果が期待できるかもしれません。
ちなみに私の腸内のエクオール産生菌としては、Eggerthella属細菌(存在割合:0.47%)が検出されたようです(腸内細菌割合の「より詳しい組成を見る」で個人的に調べました)。
Slackia属細菌などほかのエクオール産生菌は検出されませんでした。
エクオール産生菌に関しては関連記事「腸内にいるエクオール産生菌ってどんな種類の細菌?何て名前?」があるのでよかったら読んでみてください。
また、マイキンソーのサイト(参考サイト1)には以下の記述があり、主要細菌の割合の項目が今後増える可能性もありそうです。研究の進展に期待ですね。
悩み別結果
悩み別結果については、私の場合、下痢についてのタイプ判定と便秘についてのタイプ判定がありました。
下痢についてのタイプ判定では、私は下痢になりやすい菌叢のようです。
おすすめ度はどれも星1つでしたが、改善プランを参考にしたいと思います。
便秘についてのタイプ判定では、便秘になりにくい菌叢でした。
便秘になりにくい菌叢の場合でも、改善プランは提示されていました。
推移・比較
推移・比較は今回が初めてなので特に情報はありませんでした。
2回目以降に腸内フローラの変化を知ることができます。
まとめ
私の検査結果を通して、マイキンソーによってどのようなことがわかるのか知ることができたのではないでしょうか?
検査結果は腸活のヒントになります。
個人的にはマイキンソーで得られる結果の中では、ビフィズス菌の割合が大事だと思います。
検査の結果でビフィズス菌の割合が低い場合は、オリゴ糖や食物繊維などのプレバイオティクスを摂取して積極的に改善したほうがよいと思います。
また、マイキンソーの検査結果で得られる腸内細菌割合データは有用で、これを基に自分で調べて考察してみるのもいいかもしれません。
マイキンソーの解析結果のページは今後も改善されていくようなので、わかることがもっと増えるかもしれませんね。
期待して待ちたいと思います。
関連サービスの紹介 フローラ プラス(FloraPlus)
マイキンソーの販売元である(株)サイキンソーは、腸内フローラ検査による腸内環境のタイプに応じてパーソナライズ化されたサプリメントを提供する新サービス「フローラ プラス(FloraPlus)」を2021年3月頃から始めています。
詳しくは以下のアマゾンのサイトに書いてあります。
参考文献およびサイト
- マイキンソー https://mykinso.com/ (https://mykinso.com/personalのログイン後のWEBページ)
- Kovatcheva-Datchary P et al. Dietary fiber-induced improvement in glucose metabolism is associated with increased abundance of Prevotella. Cell Metabolism 2015 22(6):971–982.
- 鈴木駿太ら. 健康維持の鍵を握る腸内フローラ. 化学と教育 2017 65(12):644-645.
- 内山成人. 大豆由来の新規成分エクオールの最新知見. 日本食品科学工学会誌 2015 62(7):356-363.
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