もし、ダニに刺されて困っているなら、自分が住んでいる家に鳥の巣がないか一度確認しておくことをおすすめします。
なぜなら、鳥の巣が原因で吸血性のダニ(トリサシダニ、スズメサシダニ、ワクモ)に刺されることがあるからです。
その場合、ダニの発生源となっている鳥の巣を除去して、ダニを退治することが問題の解決につながります。
ここでは、鳥の巣が原因となるダニとその対処法を紹介します。
ダニに刺された場合は鳥の巣の有無を確認
もしダニに刺された場合は、住んでいる家屋やその付近に鳥の巣がないか念のため確認しておきましょう。
なぜなら、鳥の巣で増えたダニが室内に侵入し、刺されることがあるからです。
住んでいる家屋やその付近に鳥の巣がある場合は、鳥の巣由来のダニに刺された可能性が高くなります。
原因がわかればダニの被害に対処しやすくなります。
鳥の巣がない場合は、他のダニ(イエダニ、ツメダニなど)の被害が疑われます。
家屋に巣をつくる野鳥
スズメ、ツバメ、ムクドリ、ハト、セキレイなどが家屋に巣をつくります(参考文献1)。
家屋の軒先や、換気扇フード、換気口、屋根瓦の下や隙間、ベランダなどに巣をつくることがあります(参考文献1)。
鳥の巣が原因となるダニ
鳥の巣が原因となるダニは主に以下の3種類です(参考文献1)。
- トリサシダニ
- スズメサシダニ
- ワクモ
いずれも吸血性のダニで体長は1 mm以下ですが、注意深く見れば肉眼でも確認できます。
吸血前は灰白色、吸血後は赤くなります(参考文献2)。
本来は野鳥から吸血しており、野鳥がいなければこれらのダニに刺されることはほとんどありません(参考文献1)。
しかし、家屋またはその付近に野鳥が巣をつくると、野鳥の血を吸って巣の中でこれらのダニが増えてしまいます。
野鳥が子育を終了して巣立った後、残された巣にはこれらのダニが残され、吸血対象を求めて部屋に侵入してきます(野鳥が子育て中でも侵入してくることがあります)。
その結果、鳥の巣がある家屋に暮らしている人がこれらのダニに刺されてしまいます。
鳥の巣の近くの窓や天井などを注意深く観察すると、ダニの姿を確認できることもあります。
被害が多い時期は鳥のヒナが巣立つ4~7月および9月頃になります(参考文献2)。
また、家の外でハトなどと接触するとこれらのダニに刺されることもあるので注意が必要です。
ダニに刺された場合の症状
トリサシダニ、スズメサシダニ、ワクモに刺された跡はいずれも類似していて区別は難しいようです(参考文献3)。
これらのダニに刺されれば、虫刺されに似たもの(かゆみがある1~2 mm大の赤いブツブツ)が多数できます(参考文献3)。
腕の内側、背中、腹部など状況によって刺されるからだの場所は異なります(参考文献3,4)。
もし刺された場合は皮膚科などの医療機関を受診してください。
ダニの駆除は専門業者に任せたほうが安心
室内のトリサシダニ、スズメサシダニ、ワクモの駆除にはくん煙剤がある程度効きますが、しばらくすると鳥の巣から新たなダニがやってきてしまいます。
一時的な効果しかありません。
そのため、根本的な解決のためには鳥の巣を除去し、その部分を殺虫剤処理する必要があります。
しかしながら、もし鳥の巣にヒナや卵がある場合は、鳥獣保護法による捕獲許可が必要になり勝手に除去できません(もし勝手に除去すると法律違反になります)。
そのため、鳥の巣を除去する基本的なタイミングは、鳥のヒナが巣立った後になります。
鳥の巣の除去や殺虫剤処理は専門業者に任せたほうが安心です。
少しでも早く何とかしたい場合には、一度保健所や専門業者に相談することをおすすめします。
まとめ
家屋に鳥の巣がある場合は、鳥の巣で増えたダニが室内に侵入し刺されることがあります。
ダニを駆除するためには、ダニの発生源となっている鳥の巣を除去して、ダニを退治することが問題の解決につながります。
でも、鳥の巣にヒナや卵がある場合は、鳥獣保護法による捕獲許可が必要になるので気をつけてください。
鳥の巣の除去は保健所や専門業者に相談し、実際の作業はなるべく専門業者にお願いしましょう。
また、鳥は同じ場所に巣をつくる習性があります。
ダニ被害を防ぐためには、鳥には悪いですが家屋に巣をつくらせないことも必要です。
参考文献
- 橋本知幸. PCOによる生活環境でのダニ対応. Pest Control TOKYO 2013 64:30-35.
- イカリ消毒 害虫と商品の情報サイト ダニ(2)ワクモとトリサシダニ. https://www.ikari.jp/gaicyu/350g.html
- 神可代ら. スズメサシダニ刺症. 皮膚病診療 2019 41(10): 933-936.
- Miyamoto K, Sakaino T. Two cases of dermatitis caused by the northern fowl mite, Ornithonyssus sylvarium, in Asahikawa, Hokkaido, Japan. Med Entomol Zool 1997 48(3):265-267.
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