非認知能力がお子さんの将来、社会的な成功に影響を与えることをご存じですか?
子供の頃の「自然体験」、「地域体験」、「習い事の継続年数」、「親子関係」は、社会的な成功に関連する非認知能力である「やり抜く力」や「社会的スキル」に影響を与えます(参考文献1)。
「やり抜く力」は「非常に遠い先にあるゴールに向けて、興味を失わず、努力し続けることができる気質」で、この能力が高い人は様々な異なる状況でも成功する確率が高いことが報告されています(参考文献1,2)。
「社会的スキル」は「他者との関係や相互作用の促進のために使われる技能」で、このような対人能力も社会で活躍するためには重要です(参考文献1)。
非認知能力の形成は小学生の時期(8~11歳頃)が最も大きいことが報告されています(参考文献3)。
小学生の時期に、「自然体験」や「地域体験」の機会をもうけてあげると、お子さんにプラスになることがたくさんありそうです。
また、「習い事の継続年数」を長くするためには、お子さんが楽しく続けられる習い事を選ぶ必要もあるかもしれません。
「親子関係」では、お子さんが自分で決めたことを支持する関係性が大切なようです。
以下では、ライフサイエンス系博士(本ブログの管理人)が、研究論文などの情報をもとにもう少し詳しく紹介します。
目次
非認知能力とは
非認知能力は、IQ(知能指数)に代表される学力テストで測定できる認知能力以外の能力のこと。
非認知能力には、意欲や長期的計画を実行する能力、他人との協働に必要な社会的・感情的制御に関連した能力など、様々な能力が含まれます(参考文献1,4)。
これらの非認知能力は、進学や賃金水準の決定に関連すると考えられています。
「やり抜く力」
非認知能力の1つである「やり抜く力」(grit)は成功を予測できる性質と考えられています(参考文献1,2)。
「やり抜く力」は、「非常に遠い先にあるゴールに向けて、興味を失わず、努力し続けることができる気質」です。
挫折してもめげずに乗り越える力があります。
「やり抜く力」が高い人は、様々な異なる状況でも成功する確率が高いことが報告されています(参考文献1,2)。
たとえ才能があっても「やり抜く力」がないと必ずしも成功には至りません。
成功の鍵は「やり抜く力」です。
「社会的スキル」
他者との関係や相互作用の促進のために使われる技能である「社会的スキル」も、学力テストで測定できない非認知能力の1つです(参考文献1)。
社会で活躍するためには、集団の中で調和を保ち、協力し合う社会的能力も大切になります。
非認知能力の獲得に重要なのは小学生の時期
非認知能力は、幼少期に獲得されることが多く、10代後半でも鍛えられるそうです(参考文献3)。
ただし、8~11歳頃が最も非認知能力の獲得が起き、年齢的に小学生の時期が非認知能力の獲得に重要と言えます。
先に認知能力(学力的な知能など)が高まり(6~9歳)、それから少し遅れて非認知能力の獲得が起こる傾向があります。
自分の中で物事がよくわかってくると、自分が体験したことから非認知能力に関することを学ぶのかもしれませんね。
幼少期の体験と獲得が期待される非認知能力
2020年の研究論文(参考文献1)では、大学生の非認知能力と関連する幼少期の体験についての研究結果が報告されています。
その研究論文では、幼少期の「自然体験」、「地域体験」、「習い事の継続年数」、「親子関係」が非認知能力である「やり抜く力」と「社会的スキル」の獲得に関連することが明らかにされています。
具体的には以下の関連性となります。
「自然体験」と非認知能力
- 「自然体験」があると「やり抜く力」と「社会的スキル」の獲得につながる傾向
- 「社会的スキル」の中でも、「知らない人とでも、すぐに会話が始められる」などの【関係開始スキル】の獲得に有効
「地域体験」と非認知能力
- 「地域体験」があると「やり抜く力」と「社会的スキル」の獲得につながる傾向
- 「社会的スキル」の中でも、【関係開始スキル】、「こわさや恐ろしさを感じた時に、それをうまく処理できる」などの【問題解決スキル】、「他人にやってもらいたいことを、うまく指示することができる」などの【対人援助スキル】の獲得に有効
「習い事の継続年数」と非認知能力
- 「習い事の継続年数」が長い(2年以上)と「やり抜く力」の獲得につながる傾向
「親子関係」と非認知能力
- 子供が自分で決めたことを支持する関係性の「親子関係」は、「社会的スキル」の獲得につながる傾向
- 「社会的スキル」の中でも、【問題解決スキル】の獲得に有効
非認知能力の獲得につながる体験
上記の「自然体験」、「地域体験」、「習い事の継続年数」、「親子関係」に関してもう少し具体的に紹介します。
お子さんが小学生の時期に、積極的に体験できる機会をもうけてあげてください。
「自然体験」
「自然体験」の具体的な例は以下となります。
身近に自然が無い場合はレジャーで自然体験することや、植物を育てることがよさそうです。
- 海や川で貝を採ったり、魚を釣ったりする
- 海や川で泳ぐ
- 太陽が昇るところや沈むところを見る
- 夜空いっぱいに輝く星をゆっくり見る
- 湧き水や川の水を飲む
- 米や野菜などを栽培する
- 花を育てる
「地域体験」
「地域体験」の具体的な例は以下となります。
近所の子供たちと年齢に関係なく遊ぶことや、地域の行事に参加することなどが「地域体験」につながります。
近年の状況では「地域体験」は難しくなりつつあるかもしれません。
親としての働きかけは地域清掃や行事に参加することを促すなどになります。
- 弱い者いじめやケンカを注意したり、やめさせたりする
- 近所の小さい子どもと遊んであげる
- 近所の人に叱られた経験
- バスや電車で体の不自由な人やお年寄りに席をゆずる
- 地域清掃に参加する
「習い事の継続年数」
「習い事の継続年数」が長い(2年以上)と「やり抜く力」の獲得につながる傾向があります。
習い事を続けるには、子供が習い事を楽しんでいることが重要となります。
お子さんの興味や体質にあった習い事をさせてあげられるといいですね。
小学生の習い事に関しては以下の関連記事もよかったら読んでみてください。
「親子関係」
子供が自分で決めたこと(子供の権利)を親が支持する関係性の「親子関係」は、「社会的スキル」の獲得につながる傾向があります。
例えば親子関係性として以下が挙げられます。
- 親は、自分たちの言うことが必ずしも正しいわけではないと考え、子供の意見も聞く
- 子供のプライバシーを尊重する
- 子供がすることはなるべく子供自身に決めさせる
まとめ
小学生の頃の「自然体験」、「地域体験」、「習い事の継続年数」、「親子関係」は、社会的な成功に関連する非認知能力である「やり抜く力」や「社会的スキル」の獲得につながります。
小学生のお子さんがいる場合は、これらを体験する機会を積極的に設けてあげてくださいね。
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参考文献
- 奥村咲, 池田琴恵. 大学生の非認知能力と関連する幼少期の体験の検討. 東京福祉大学・大学院紀要 2020 10(1-2):155-165.
- ダックワース. やり抜く力-人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身に付ける. ダイヤモンド社 2016.
- 戸田淳仁ら. 幼少期の家庭環境、非認知能力が学歴、雇用形態、賃金に与える影響. 経済産業研究所 RIETI Discussion Paper Series 14-J-019 2014.
- ヘックマンJJ. 幼児教育の経済学.東洋経済新報社 2013.(Heckman JJ.: Giving Kids a Fair Chance. The MIT Press,MA.)
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