STEAM教育と小学校プログラミング教育の関係性を知っていますか?

STEAM教育と小学校プログラミング教育の関係性を知っていますか?

2021-08-08

最近よく耳にするようになった小学生への教育として、STEAM(スティーム)教育とプログラミング教育があります。

この2つの教育の関係性をご存じですか?

STEAM教育とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)のSTEM教育(従来から存在した理数教育)に、アート(Art)を統合させた創造性教育です(参考文献1)

これからの日本のSociety 5.0[サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の2050年ごろの日本の社会]実現へ向けた社会で活躍する豊かな創造性を備えた人材を育成できる教育として重要視されています。

一方、プログラミング教育はコンピュータを理解し上手に活用していく力(「プログラミング的思考」と「情報活用能力」)を育成する教育です(参考文献2)

プログラミング教育は、コンピュータなどとのかかわりが必須となる未来の情報化社会で子供たちが困らないようにするための基礎的な教育と言えます。

2つの教育の関係性としては、STEAM教育の基盤となる教育としてプログラミング教育が位置付けられており、STEAM教育がプログラミング教育の上位概念となります(参考文献3)

そのため、プログラミング教育はSTEAM教育の観点に基づいて実施されるべきですが、現状はそうとは言えないようです。

ここでは、STEAM教育とプログラミング教育の関係性について、ライフサイエンス系博士(本ブログの管理人)が解説します。

STEAM教育とプログラミング教育はSociety 5.0の実現に関係する

未来の社会のイメージ画像

まず、小学生にSTEAM教育とプログラミング教育を行う必要性が生じた時代的背景をご紹介します。

現在、日本では2050年頃の日本のあるべき社会の姿としてSociety 5.0の実現へ向けた取り組みが行われています。

Society 5.0とは以下のような社会と説明されています。

Society 5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)のことです。Society 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります。

(内閣府Webページ (参考文献4)を参考に記載)

Society 5.0は2050年頃の日本のあるべき社会の姿とされますが、2030年頃にある程度具現化することが目標とされています。

Society 5.0の実現のためには、今までにない新たな価値を生み出すことや社会の変革(イノベーション)を行うことができる豊かな創造性を備えた人材が必要となります。

STEAM教育は、この豊かな創造性を備えた人材を育成できると期待されています。

また、高度に情報化された社会では、それに適応して生活できることも重要です。

プログラミング教育は、コンピュータなどとのかかわりが必須となる未来の情報化社会で子供たちが困らないようにするための基礎的な教育と捉えることができます。

STEAM教育は豊かな創造性を備えた人材を育成する

STEAMの文字のイメージ画像

STEAM(スティーム)教育とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)のSTEM教育(従来から存在した理数教育)に、アート(Art)を統合させた創造性教育のことです。

(日本では、アートを芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲で定義しています(参考文献1)

これからのSociety 5.0実現へ向けた社会では、STEM教育(理数教育)にアートを統合させたSTEAM教育を行い、アートの影響による拡散的な思考のもとで多様な成果を出すことが技術革新(イノベーション)につながると考えられています。

日本の政策におけるSTEAM教育は、Society 5.0の時代に対応した「未来の学び」の構築の一環として、「学びのSTEAM化」として位置付けられようとしています(参考文献3)

文部科学省の資料(参考文献1)では、STEAM教育を受ける土台作りとして、幼児期からのものづくり体験や科学的な体験の充実、小学校、中学校での各教科等や総合的な学習の時間における教科等横断的な学習や探究的な学習、プログラミング教育などの充実に努めることが重要であることが指摘されています。

STEAM教育に関しては関連記事「STEAM教育は子供が未来で活躍するために重要!?いつから始める?」で詳しく説明しています。STEAM教育を受けられるオンライン学習(通信教育)なども紹介しているので、よかったらそちらも読んでみてください。

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プログラミング教育はコンピュータを理解し活用していく力を育成する

ノートパソコンの写真

これからのSociety 5.0実現へ向けた社会では、職業生活をはじめ、学校での学習や生涯学習、家庭生活や余暇生活など、あらゆる活動において、コンピュータなどの情報機器やサービスとそれによってもたらされる情報とを適切に選択・活用して問題を解決していくことが不可欠となります(参考文献2)

コンピュータを理解し上手に活用していく力を身に付けることは、これからの社会を生きていく子供たちにとって、将来どのような職業に就くとしても、極めて重要なこととなっています。

そのため、コンピュータを理解し活用していく力を育成することを目的に、プログラミング教育が2020年度に小学校で必修化されました。

小学生へのプログラミング教育では、主に「プログラミング的思考」と「情報活用能力」の育成が行われます。

「プログラミング的思考」を端的に説明すると、「コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力」のことと言えます。

コンピュータに自分が考える動作をさせるためには、この「プログラミング的思考」ができることが前提となるため、「プログラミング的思考」の育成が重要とされています。

一方、「情報活用能力」は、情報を収集・整理・比較・発信・伝達する等の力をはじめ、情報モラルや情報手段の基本的な操作技能などを含めた総合的な能力のことです。

「情報活用能力」は言語能力などと同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けられています。

プログラミング教育では、単に「プログラミング的思考」を育めばよいということではなく、「情報活用能力」を育成することも重要とされています。

STEAM教育とプログラミング教育の関係性

STEAM教育とプログラミング教育の関係性を示す画像

STEAM教育とプログラミング教育は、両方ともこれからのSociety 5.0実現へ向けた社会で子供が活躍し、豊かな生活を送るための教育と言えます。

2つの教育の関係性に着目すると、STEAM教育の基盤となる教育としてプログラミング教育が位置付けられており、STEAM教育がプログラミング教育の上位概念とされています(参考文献3,5)

そのため、プログラミング教育はSTEAM教育の観点に基づいて実施されるのが好ましいと考えられます。

現状のプログラミング教育はSTEAM教育との関連性が低い

プログラミング教育はSTEAM教育の観点に基づいて実施されるべきですが、現状はそうとは言えないようです。

教育現場で参考にされる小学校プログラミング教育の手引(第三版) (参考文献2)には、5年生の算数の正多角形の意味を基に正多角形をかく場面においてプログラミングを行う実践などが紹介されていますが、STEAM教育の観点から捉えると実社会での問題発見・解決の文脈とのつながりが見出せないなどの指摘があります(参考文献3)

現在の実践事例では、本来のSTEAM教育から見たプログラミング教育の在り方との解離が生じているのではないかと危惧されています(参考文献3)

また、小学校ではプログラミング教育が先に必修化され、後からSTEAM教育の概念を持ち込んで小学校プログラミング教育を位置付けるという「ねじれ」が生じています。

プログラミング教育の上位概念であるSTEAM教育の経験が十分でない多くの小学校教員にとって、小学校プログラミング教育の意義や位置づけを理解して指導することは困難であると予想されています(参考文献3)

そのため、現在のプログラミング教育はSTEAM教育との関連性が低いものとなることが危惧されます。

まとめ

STEAM教育とプログラミング教育は、両方ともこれからのSociety 5.0実現へ向けた社会で子供が活躍し、豊かな生活を送るための教育と言えます。

2つの教育の関係性は、STEAM教育の基盤となる教育としてプログラミング教育が位置付けられており、STEAM教育がプログラミング教育の上位概念となります。

そのため、プログラミング教育はSTEAM教育の観点に基づいて実施されるのが好ましいと考えられます。

だだ、現状の小学校のプログラミング教育はSTEAM教育との関連性が低いものとなることが危惧されます。

そのため、小学校の授業以外にも習い事としてSTEAM教育やSTEAM教育の観点に基づいたプログラミング教育を受講するとよいかもしれません。

STEAM教育を受けられるオンライン学習(通信教育)については、関連記事「STEAM教育は子供が未来で活躍するために重要!?いつから始める?」で説明しています。よかったらそちらも読んでみてください。

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参考文献

  1. STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進について. 文部科学省初等中等教育局教育課程課. https://www.mext.go.jp/content/20210714-mxt_new-cs01-000016477_004.pdf
  2. 小学校プログラミング教育の手引(第三版). 文部科学省 2020.
  3. 黒田昌克, 森山潤. STEM/STEAM 教育の観点から見た小学校プログラミング教育の在り方に関する研究課題の展望. 兵庫教育大学学校教育学研究 2020 33:189-200.
  4. Society 5.0. 内閣府. https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/
  5. 未来の学び官民コンソーシアムにおける経産省の取組.経済産業省 2019.https://miraino-manabi.jp/assets/pdf/190528_shiryo2.pdf

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